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「目指すは中年のアイドル!!」(中嶋常幸、7冠達成記念祝賀謝恩会にて)

1月19日に都内の赤坂プリンスホテルで開催された「中嶋常幸の7冠達成記念祝賀謝恩会」。その直前に行われた記者会見で、52歳が照れながら打ち明けた。

「今いちばん思うのは、もういちどマスターズに出られたらいいなってこと」。

思い切って口にしてしまったら、ますます照れてしまったようだった。
もごもごと、言い訳するように続けた。

「そんなの無理だって気持ちは自分にもあるよ。ありえないって気持ちも、確かにあるんだ」。

しかしその一方で、まだ心の奥に燻っているものがあることを自覚している。
「燃え尽きてない、灰になっていない思いがある。選手としてもういちど、オーガスタのティグラウンドに立ちたい。そういう気持ちが、プロとしての自分を支えている」。

壮大な計画をひとつ打ち明けてしまったら、堰を切ったようにどんどんと、こぼれ落ちてきた。
これからの夢。

ゴルフの伝道師となって、楽しさや魅力や伝えていくこと。
少しでも長く第一線で戦って、「若い子に憧れられるような選手になること」。

昨年10月の日本プロシニアで史上初7つ目の“日本”と名のつくタイトルを獲得したが、これで終わりではなかった。
まだ、取りこぼしがあったことに気がついた。

レギュラーツアーの『UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ』。

昨年、ツアープレーヤー日本一を決めるこのメジャー戦で、1打差2位で最終日をスタートしながらチャンスを逃した。
「あれは・・・惜しかった。あれさえ勝っていれば“8つ目”になっていたはずだった。今年はぜひ勝って、来年は“8冠”のパーティをしよう!」と、ぶち上げた。
「・・・だからみなさん、それまでにまた、新しいスーツを新調しておいてください」とおどけて笑った。

父・巌氏の手ほどきを受けて完成したスイングはデビュー当時、「サイボーグ」と呼ばれた。
海外メジャーでも好成績を残し、セントアンドリュースで行われた78年の全英オープンでは脱出に4打かかった17番ホールのバンカーに「トミーズバンカー」との別称がつくなど、“トミー”の愛称は世界でも知られるところとなった。

時代の変遷とともに、さまざまな愛称や形容詞がつくことこそスターの証し。
世間をあっといわせる活躍を続けてきたことの証明だ。

そんな中嶋が目下、目指しているのが「中年のアイドル」。
47歳で7年ぶりの復活優勝をあげたときは、「中年の星になる」と宣言した。
「・・・でも、そのあとに室田とかジェットとか芹澤とか。中年の星を名乗る選手が一杯出てきて(笑)。それならばと思いついたんだ。たくさんいる星の中でも、その上に立てるアイドルはたった一人。この地位は、絶対に譲らんよ!!」と断言したが、今の中嶋になら“中年”に限らない。
ゴルフ界のアイドルといっても良い若さと勢いがある。

  • パーティ直前の記者会見時。7冠を達成した日本プロシニアの主催・社団法人日本プロゴルフ協会の松井功会長より特別賞を受け取った

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