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アサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアルオープン 2006

平塚哲二が単独2位浮上

この日2日目はインドのジーブ・ミルカ・シンがロケットスタート。いま、絶好調の男がこのまま独走態勢を築くかに思われたが、負けじと1打差まで詰め寄ったのが鉄の男だ。

3週前のホスト試合。ブリヂストンオープンの水曜日に背中を痛めた。

練習場の打席が逆目のライと気付かずに打っていて、ふとクラブが突っかかった。
と、次の瞬間に「呼吸もできないほどの痛み」が脇腹を襲った。

それでもこらえて翌日もプレーを続けたのが祟ったのか、ついには両肩甲骨まで痛めてしまい「今はボロボロです」と、苦笑する。

やんちゃ坊主の幼少期。悪ふざけが過ぎて生傷が絶えなかった。
額を割り、ダラダラと血を流しながらも遊びをやめず、医者にも行かなかったこともある。

そのタフネスぶりは、プロ入り後も健在だ。
2004年の三菱ダイヤモンドカップ。
左ヒザのじん帯断裂、あばらに剥離骨折を負いながら、ツアー2勝目をあげている。

平塚の辞書に「欠場」や「棄権」という文字はない。
「休んだほうが具合が悪くなる」と、今週は極力ゆっくり、軽めに振るように工夫して戦い続けるアイアンマン。

クラブで言えば1番手、約10ヤードほど確実に飛距離が落ちるのは否めないが、この日は奇跡的な1打もあった。

579ヤードの8番パー5。スプーンで打った残り205ヤードの第2打が不運なキック。
グリーン左奥の、ガケ下まで転がり落ちた。
「OBすれすれ」のライは、芝生も生えていない。石ころと木の根が這い、どんなに背伸びをしても、40ヤード先のピンフラッグさえ見えない。

「上手く行ってパー」と、諦めた第3打。
「ガチャン!!」。
ボールがピンに当たってカップインした派手な音は、約10メートル下の谷にいた平塚にも聞こえてきた。
このチップインイーグルを含む65は単独2位。

背中の強い痛みに今週も予選落ちを覚悟してきたが、それどころか優勝も狙える位置だ。

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