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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2006
“常連”のシード落ちが目立った今年のジャパンゴルフツアー
昨年、深刻な首痛から公傷制度を利用して復帰した米山剛や桑原克典、宮瀬博文らだ。
桑原は、11年間守ってきたシード権を失った。
昨年も終盤まで確保を引っ張った経緯があるが、今年は遠く圏外の賞金ランク89位のまま、とうとうシーズンを終えた。
長年の選手生活で「良い経験もあるかわりに、悪い経験もしてきているから」と桑原。
「若いときには無邪気にやれたのが、この年になると悪い経験が邪魔をするようになる。いろいろ計算するようになって、のびのびとゴルフができない。いま、自分はまさに、そういう年齢に差し掛かっているのだと思う・・・」。
今季は、日本オープン以外ほぼフル参戦しながらサントリーオープンの19位が最高。
「毎週40位台・・・というゴルフ。それはつまり、今の実力が40位台ということ。それをちゃんと受け止めて来週にのぞみたい」。
過去には、ジャンボ尾崎や中嶋常幸でさえ不遇の時代があった。
それでも不死鳥のように蘇り、今でも現役だ。
「復活するには、相当に根性がいる。スーパースターのジャンボさんや中嶋さんは、なおさらのことだったと思う。それに比べて、僕なんかはまだ可愛いもの。何年かかっても、絶対に克服して再生してみせる」と、前向きだった。
今季賞金ランク94位でシード落ちした宮瀬が、当時21歳の最年少記録で初シード入りを果たしたのは1992年。
以来、ずっと出場権を守ってきた。
ツアー通算6勝。2003年には年間2勝をあげて複数年シードを手に入れて、賞金ランクで自己最高の9位に入り、米ツアーへの初参戦も決めた。
しかし、その翌年の2004年だ。
本場アメリカでのハイスコアの戦いに「まずは予選カットを気にしながらゴルフをするようになってしまった」。
その“後遺症”は、帰国して2年あまりが過ぎた今も引きずったまま。
「早く、結果を出さなくちゃ、という焦りもあった」。
取り返せないまま今年、とうとう複数年シードの適用も切れてしまった。
くしくも今年、韓国のドンファンが19歳での初シード入りを果たし、宮瀬の記録を抜いた矢先のシード落ち。
「確かに(記録を抜かれたことには)残念な気持ちもある。でも、若い世代の子たちが出て盛り上がるのは良いことだから。・・・35歳にもなると、そういうことも考えるようになるんだね」と、小さく笑って「僕も来年には、復活できるように頑張ってきます!」。
桑原にも宮瀬にも、落ち込んでいるヒマはない。
次週29日(水)から6日間の日程(予選4日、決勝2日)で、茨城県のセントラルゴルフクラブでファイナルQTが開幕する。
来季の出場権をかけた、過酷な戦いが始まるのだ。