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フジサンケイクラシック 2008

賞金レースの主役はタイの英雄

昨年の最終日。17番で谷原秀人にチップインイーグルを決められて、惜しくも2位に破れたのがタイ出身のプラヤド・マークセンだ。今大会だけではない。数え切れないほどのチャンスを迎えながら、なぜかシード7年目の日本ツアーでは勝てなかった。

「普段はとても優しくて、非常に気遣いの人なのに、ひとたびコースに出れば、周りが見えなくなるくらいに熱くなる」とは、専属キャディの上江洲安秀(かみえすやすひで)さん。
それゆえか、ミスの連鎖で失敗することがたびたびあったようだ。

幾度も辛苦をなめてきたマークセンが、いよいよその壁を打ち破ったのが今年5月の三菱ダイヤモンドカップ。
「今までとても長かったから。やっと勝てたんだなと思ったら嬉しくて…」と、日本ツアー初優勝のインタビューでしおらしく涙をぬぐったが、いちど味をしめたら、もう止められない。

次のミズノオープンよみうりクラシックで2試合連続Vを達成し、いまも賞金ランキングのトップを走る。

昨年アジアで賞金ランク5位。日本で10位の実績が評価され、今年初めてマスターズの舞台を踏み、自身2度目の全英オープンにも参戦した。
世界各地で百戦錬磨の42歳はいま、脂がのりきっている。

もちろん、狙うは賞金王の座。
実現すれば、1987年のデービッド・イシイ以来、史上2人目となる外国人選手のキング誕生だ。
シャイな性格だから、本音は笑顔で覆い隠すが、秘めた闘志は相当なもの。

まずは昨年大会のリベンジで、そのいしずえを築きたい。

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