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Phlip Morris K.K Championship 2001
▼ 3日目、トピックス「僕は段階を踏むタイプ。優勝より、シードなんです」
たくさんの励ましの言葉に支えられ、星野が本領を発揮しつつある。
通算3アンダー33位で、インスタートからのこの日3日目。出だしの10番で奥から3メートルのバーディチャンスを沈めると、12番で1.5メートル。13番では、手前10メートルをねじ込み、15番で1メートル。18番は、アプローチでOK距離に寄せてバーディ。5つスコアを伸ばして、ハーフターンだ。
今週から、ボールをダンロップの「スリクソンハイブリッドツアー」に変えて、飛距離が10ヤード弱アップしたこともその要因だが、それ以上に、デビュー2年目にして、ようやく伸び伸びと、プレーできていることが大きいようだ。
このABCGCでも、以前はティショットで注意が必要だった9番や、11番のフェアウェーバンカーも「まったく気にならなくなったんです」
その言葉どおり、ラスト9番は、ティショットで楽々と右のバンカーを越え、残り145ヤードのラフからの第2打は、フライヤーも計算に入れつつ、「ピッチングウェッジで押さえ気味に打って」ピン横20センチ。
鮮やかなバーディで締めくくり、64のコースレコードタイをマークして、3位タイに急浮上だ。
東北福祉大学時代に取ったアマタイトル52個の栄冠をひっさげてデビューした昨年は、周囲のあまりの期待の大きさに、押しつぶされた。
思うようなショットができず、ドン底に。表情からは笑顔が消えて、思いつめたような顔が目立った。
しかし、仲間の暖かい言葉が、そんな星野を救った。
深堀圭一郎や、宮本勝昌。同じ学生ゴルフ出身の彼らは、悩んでいる星野を見かねて、「アマチュア時代に力を発揮している選手は、そのうち必ず結果を出してくるから」と、太鼓判を押してくれた。
会場でも行動を共にするディネッシ・チャンドなどは、シード入りを目前にしている星野に、「僕が出場を取りやめてでも、おまえを試合に出させてあげたいくらいだ」とまで、言ってくれた。
友達の心遣いが、今の星野を突き動かしている。
「親身になってくれた人たちのためにも、なんとか結果を出したい」と星野。
最終日は、初体験の最終組だが、「僕は、段階を踏むタイプ。だから、いきなり“優勝”よりも、まずシード入り。そう考えれば、考えの幅が広くなり、余裕ももてるから」と初めて迎える最大のチャンスも、冷静に、受け止めている。