渡米前夜のことだ。普段は、ほとんど心情を吐露しない選手が、まばゆいライトを浴びてきっぱりと言い切った。

「出るからには、もちろん優勝を狙ってきます！」。

昨年の最終戦『ゴルフ日本シリーズＪＴカップ』で悲願の初優勝。これをきっかけに次週開催のソニー・オープン・イン・ハワイから推薦を受けた平塚は、これが米ツアー初参戦だ。

「なんせはじめての体験で、いったいどうなることか・・・。自分でもまったく予測がつかず、ひょっとしたら無残に予選落ちして帰ってくるかもしれない。・・・でも、どうせ行くからには単に“勉強しに行く”んじゃなく、気持ちだけでも“優勝する”つもりで乗り込みたい」と、力強く決意を語った。

出発前日の7日（水）、地元有志主催の優勝祝賀会に出席した。会場の京都・醍醐プラザホテルに集まった約300人は、京都・醍醐ゴルフセンターのヘッドプロで師匠でもある太田了介氏をはじめ、所属コースの滋賀県・甲賀カントリー倶楽部のみなさんなど、ゴルフを始めた10歳のころから平塚をよく知り、支えてくれた人たちばかりだ。

「あとに続く者たちのためにも、“テツ”にはここ京都・滋賀から世界を目指す選手になってほしいん です！」特に平塚のゴルフの原点といってもいい太田氏からの激励には、ますます気持ちが引き締まった。

昨年は、米ツアーの最終予選会に挑戦する予定だった。しかし、「日本で1勝も勝てない人間が行って もおハナシにならない」と、無念のキャンセル。まずはツアー1勝を目標に、国内に腰を落ち着け全29戦を戦い抜いた。最終戦の優勝で、賞金ランクも２位に食い込んだ。憧れだったメジャー戦『全英オープン』の出場権も手に入れた。

「昨年は人生最高の1年でした・・・」としみじみと振り返った平塚。「今年は、昨年以上に努力を重ね、もっともっと良い年にするつもりです！！」。

大勢の恩人を前に、さらなる飛躍を誓った“アイアンマン”は、いよいよ次週、世界進出への第一歩を踏み出す。

写真上＝祝賀会のオープニングは、昨シーズンの平塚を支えたゴルフクラブ『つるやゴールデン プリックス』14本で、鏡開き！！

写真中央＝壇上から、平塚が会場にむかって得意のアプローチ！！　ボールには賞品番号が記してある 。うまくキャッチできた人に該当景品がもらえる楽しいイベントには、無邪気な笑顔もこぼれて・・・。

写真下＝父・央さんには根性を、母・恭子さんには優しさや人情を叩き込まれた。祝賀会の最後には、ここまで立派に育て上げてくれた両親に感謝をこめて、ゴルフ日本シリーズＪＴカップの優勝副賞『ニッサンシーマ』をプレゼント。壇上で、親子３人感無量。涙で言葉にならず・・・。

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• 平塚 哲二