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2004マスターズトーナメントフィル・ミケルソンが悲願のメジャー初制覇!!

2004マスターズトーナメント
フィル・ミケルソンが悲願のメジャー初制覇!!

ミケルソンが、不名誉な称号を返上した。PGAツアーで22勝の実力がありながら、メジャーでは未勝利。『メジャーにもっとも近い男』と言われつづけ、実際に再三チャンスを迎えながら、いま一歩のところで届かなかった。このマスターズでは、昨年まで3年連続で3位。いつしか、“無冠の帝王”“無冠のレフティ”などと、ときには揶揄をこめて囁かれるようになっていた。

いつも、最終日のバックナインで崩れ去り、涙をのんできた。しかし今回は、そのサンデーバックナインで盛り返した。特にアーメンコーナーの12番で5メートル、13番は2オン2パット、14番ではあわやチップインイーグルのセカンドショット。OK距離につけて、3連続バーディを奪った。前半の3ボギーをすっかり取り返すと、16番でのぼり5メートルのバーディを決めて、首位を走るアーニー・エルスをいよいよつかまえた。

誰もが、ミケルソンの勝利をのぞんでいた。どのホールでも、『GO!!フィル!』の大声援。その声に、ときおり笑顔でこたえる余裕もあった。パトロンたちの興奮も、本人は冷静に受け止めていた。

最終日は、2打差首位タイからスタートしたものの、前半でもたつくうちに、南アフリカのエルスが1日2イーグルの猛チャージ。逆転され、一時は3打差つけられたが、終始、落ち着いたプレーで最後の最後にもう一度、その座を奪い返したのだ。
通算8アンダーで並んで迎えた18番で、奥5メートルにつけたバーディチャンス。先にホールアウトしていたエルスが見つめる中、ボールは、左カップのふちをなぞりながらポトリと落ちた。

カップインの瞬間、メジャーチャンプが思わず叫んだ言葉は「オーマイゴット!!」その第一声も、パトロンたちの地鳴りのような大歓声にかき消されてしまった。待ちに待ったメジャー初制覇が、このマスターズトーナメント。「こんなことが僕の身に起きるなんて。まだ、信じられません。ようやく夢がかない、そばには最高の妻と健康な3人の子供たち。・・・僕は世界で一番、幸運な男です」。

クラブハウス横の練習グリーンで行われるマスターズの表彰式は前年度覇者がチャンピオンに、グリーンジャケットを着せ掛けるのが恒例だ。ミケルソンが深緑のジャケットを受けたのは、カナダ出身のレフティ、マイク・ウィア。これで、揺らぎかけていた“世界最強のレフティ”の名も、がっちりと取り返した。

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