Tournament article
サン・クロレラ クラシック 2011
池田勇太が単独2位
先週のセガサミーカップは、日本人としてただひとり予選を突破した全英オープンから戻ったばかりで、予選を通過するので精一杯。
「ここは休むべきだったかも」と、ちょっぴり後悔の25位タイに終わったが、滞在2週目にして、本領発揮だ。
イーグルを奪ったのは567ヤードの9番パー5。スプーンを握った283ヤードの第2打が、ピン横7メートルをみごと捉えた。この上りフックを「よう入れた」。
折り返して13番。527ヤードのパー5。残り256ヤードは右ラフからの第2打を、2番のユーティリティで「ナイスオン」。これまた自画自賛のバーディで、66をマークした。
北海道との相性は抜群だ。ツアー初優勝は2009年の日本プロ。恵庭カントリー倶楽部は、7打差の圧勝をした。さらに昨年は、ANAオープンだった。当時、ツアー通算6勝目にして、勝って初めて流した涙が、ここだった。
会場の「輪厚(わっつ)」は「プロになったからには一度は勝ちたい」。思い焦がれていた舞台。「ここで勝てないと、プロの仲間入りをした気がしない」と、それほどまでに憧れたコースで掴んだ栄冠だった。
そしてここ小樽と、合わせて3つのコースはそれぞれに、違った赴きがある。
「たとえば輪厚は風。背の高い木の上を複雑に舞う。コースにも起伏があって、掻き立てられる」。
一方、海沿いに横たわる小樽は、どちらかというと、リンクスコースにも似て、フラットな大地には遮るものが少なく、強い海風がもろに吹き抜けていく。
洋芝特有の粘っこいラフに、待ち受けるグリーンは「読みづらい中にも、強い傾斜があって」。
それぞれめっぽうタフには違いないが、その質は似て異なる。若い選手のわりには、まるで昭和の香りのするベテラン選手のように、球さばきの上手な池田のゴルフは、そんなコースでこそ真価を発揮する。
戦略性の高いコースでこそ、多彩な技が生きるのだ。マネジメントのうまさもまた然り。若大将が、輝く瞬間。
「コースにもてあそばれないように、と挑んでいく自分がいる。小樽も大好きなコースのひとつ。勝ちたい」と、ここでもまた思いがみなぎる。
初日は、うまくコースの罠をかいくぐったがこのまま終わるとは思っていない。「このあとも試練は絶対ある」と、承知の上だ。
「ショットの精度もそうだし、グリーン上も。少しでも気を抜いたら3パットもある。コースになめられないように。我慢しながらバーディチャンスが待てるかどうか」。
小樽との戦いは、始まったばかりだ。