Tournament article
TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2011
原口鉄也は「僕は非力だけれど」
和歌山県の那智勝浦町で生まれ育った。先週は、台風12号による土砂崩れでまさに甚大な被害を受けた地域だ。
テレビに映る場所はどこもかしこも馴染みの場所だった。
「毎日、あの道を通って学校に通った。そこが全滅していた」。
ゴルフの道に入るきっかけとなった叔父の練習場も水没した。
両親が住む実家は被害の大きな場所から1㌔ほど離れたところにあり事なきを得たが、それでも母の良子さんは当日、近くのスーパーに買い物に出掛けて大変な目にあった。
「着いたら、すっかり水に浸かっていたらしくて。とても営業出来ない状況だったらしい」。慌てて自宅に引き返してお母さんも無事だったのが、何より幸いだった。
それでも大勢の方が亡くなられた。
娘さんを亡くされ、奥様は未だ行方不明の寺本真一・町長は、原口が里帰りのたびに役場を訪れ、交流を深めてきた方でもある。「すごく残念で、すごくショック」と、原口も胸が痛んで仕方ない。
当地は台風の通り道で、これまでも被害はよくあったそうだが「ここまでひどいのは想像もつかなかった」と、3月の大震災に引き続き、自然の猛威に改めて背筋が凍る思いだ。
同時に、気持ちは奮い立つ。
「僕なんか非力で。僕が何かしたところで何も変わらないのだけれど」。
何かこういうときの常套句のようで、そう思うほどに情けない心地がするが、それでもあえて言わずにはいられない。
「せめてゴルフで役に立ちたい。せめてそういう気持ちを持ってプレーしたい。それが結果的に、何か地元の形になれば」。
まずはホストプロとしての責任も、まっとうするつもりだ。「ここにいる以上は集中して、精一杯のプレーを見せたい」。大好きな故郷への思いを胸に秘めてコースに立つ。