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つるやオープンゴルフトーナメント 2013
韓国の新鋭、李泰熙 (イテヒ)が単独首位に【インタビュー動画】
「日本ツアーのシード権が欲しい」。その一心で、ここ山の原に駆けつけた。
この日3日目は、前日2日目の第2ラウンドの残り競技と合わせて計27ホールの長丁場。
しかし、早朝の8ホールで首位に立ち、そのまま突入した第3ラウンドでも、「ミスをする気がしない。すごく集中出来ていたし、完璧でした」。
その自信が揺らいだのは、第3ラウンドの15番ホールだ。17度のユーティリティアイアンを握った2打目。
「ちょっと、芝を噛んだ」と、大きく右に曲げた。
崖下の林の中に打ち込んだ。
「凄い傾斜で」。不安定な姿勢からの3打目は、構えた瞬間にふいに足ががくがくと震えだした。
「それまでは気がつかなかったけれど。ああ、疲れているんだ、と」。
気力を振り絞った。どうにかグリーン手前のバンカーに脱出。そこから渾身のOKボギーだ。
「あれはナイスボギーでした」と、怪我を最小限にとどめて、最終日を前に単独首位に立った。
父親の手ほどきで、ゴルフを始めたのは13歳のとき。米ツアー選手のK・J・チョイに憧れて、2004年にプロの道へ。
長く韓国ツアーとワンアジアで活躍してきたが、日本ツアーはずっと憧れだった。
「韓国でもたまにテレビで日本ツアーを見ましたが、晋呉さんとか、藤田さんとか、遼くんとか。スター選手が一杯いて。賞金も高いし、試合も一杯!」。念願かなって本格参戦を果たした今季は、ワンアジアツアーと共同主管のタイランドオープンと、インドネシアPGA選手権と、そして国内初戦の先週とで、4戦目にして早くもツアー初Vのチャンス到来。
この日、同組で回った松山英樹は「ものすごくダイナミックなゴルフをする選手」と感心しつつ、「僕の武器は安定感。得意のアイアンショットと、パット」と28歳の新鋭は、日本を代表する21歳に最終日も小技で対抗する。
噂によると、韓国ツアーでは1,2位を争うイケメンプロ。
たちまち照れ笑いで「・・・いえいえ、どういたしまして!」と、覚え立ての日本語は、どうやら「とんでもないです」と謙遜をしたいらしいが、報道陣に囲まれた李を、少し離れたところから、ニヤニヤと眺めていた韓国プロのI・H・ホが「彼、モテますよ!!」と、太鼓判を押していた。