Tournament article

〜全英への道〜ミズノオープン 2013

星野英正が前半29をマーク、3位に浮上【インタビュー動画】

緊張した、というのとも少し違うが「この先、俺どうなっちゃうんだろう」という、妙な畏れのようなものすら、せり上がってきた。「前半は何をやってもうまくいく」。

スタートから、猛ダッシュ。1番で左バンカーから、グリーンのセンターを狙ったつもりが、なぜか2打目はピンに向かってまっしぐら。3メートル半のバーディで飛び出すと、2番のパー5ではチップイン。ラフから寄せようとした、25ヤードのアプローチ。勢いよくピンに当たった。そのままカップに消えた。イーグルで勢い付いた。「ゾーンというか、球のイメージだけしてアドレスに入れば、そのとおりになるという感じ」と怒濤の4連続で、やにわにV争いに加わった。

「でも前半だけね」と笑った。9パットの29には「自分でも、ビビったっス」とあまりのビッグスコアに後半は、自分にブレーキをかけてしまってスコアにもストップがかかったようだが、それでも通算12アンダーは3位に浮上だ。

2008年の「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ(現日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills)」でツアー通算3勝目をあげて複数年シードを獲得したが、ここ数年は賞金シードを出たり入ったり。

このコースなら、丈の高い雑草や芝草。夏ならエアコンから出て来るカビなど「1年中、何かしらある」というアレルギー症状に加えて52冠のアマ時代を含めて長年の競技生活から生じたスイングのズレ。

「それとヘンなクセ。そういうものが、山ほどあった」。
今年から、まずその実直な人間性に惚れ込み正式に契約を結んだという“江連門下”の前田純一コーチと話し合いを重ねながら、修正に取り組んできた。
「それが半歩ずつ、よくなってきている実感がある」。
元来の安定感と一緒に飛距離も徐々に出るようになってきて、「良くなってきていることを、体で感じる」。ついに、長期シードの最終年度を迎えた今季は、ちょうど手応えを感じ始めた矢先のこの日の大爆発だった。

いまや、敵なしの東北福祉大の牙城をまず最初に築いたのが星野だ。常に羨望の眼差しを浴び続けた黄金時代。「でも、今はそうじゃないけど」。ツアーの勝ち星も、止まったままの今はずっと年下の後輩の松山英樹がいま、まばゆいばかりのスポットライトを浴びて、スター街道を突き進む。

「初めて出会ったころより、体も大きくなっているし、太ももも競輪選手みたい。これからの時代に通用するヤツって、松山なのかなと僕も思う」と、その実力には星野も一目置きながらも、「俺ももちろん頑張りたい」。
全英オープンの出場権がかかる今大会。上位4人に入れば、無条件でその権利が得られる。2004年に初挑戦した世界最古のメジャー戦は、経験があるから分かるが、リンクスコースの過酷さに加えて、「非常に金がかかるので。いまは稼げてないので、また行けたとしても、このままじゃちょっとつらい」とおどけて。「どうせなら、優勝して行ければいい」。2度目の遠征は、優勝賞金2200万円を餞別に、意気揚々と旅立ちたい。



関連記事