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カシオワールドオープン 2014

チャレンジの星! 今平周吾がツアー初Vのビッグチャンス

1粒のガムが、22歳に大きなチャンスをもたらした。初日に、今週バッグを担ぐ小野郁さんが、噛んでいたガムをもらってラウンドしたら、66が出た。首位で迎えた翌日の2日目は、噛まずに71を叩いて5位タイに後退してこの日はスタートから試してみると、「ラウンド中の高ぶりみたいなものが無くなって」。
18ホールで4つのガムは、だいたい4ホールに1個の計算で、緊張もプレッシャーもかみ砕いて、再び首位に返り咲いた。

後半から強い風が吹く中でも「得意」というアイアンで、果敢にピンを狙った。身長165センチと小柄だが、「このコースは広いし、振ってもOBがないし。ラフに入ってもピンを狙える」と、豪華に攻めていく。

ジュニア時代からファンだった今田竜二と今週、初体面も「初日にナイスプレーと言ってもらって。挨拶はしましたけど、自己紹介はしていない。あんまり自分から行くタイプじゃないので」と、普段はモジモジとおとなしい性格も、ことゴルフとなると大胆だ。

単身渡米したのは、日本ジュニアを制した2008年。地元・埼玉栄高校1年の秋だった。「練習環境を変えたい」。幼い頃からCS放送で見ていた米ツアーへの憧れもあり「向こうでやってみたい」とフロリダのIMGアカデミーではテニスの錦織選手とは、面識はないが「錦織さんのお父さんとご飯を食べたことがある」と、プチ自慢。

2年間の留学生活でほとんど話せなかった英語も日常生活に支障のないレベルに向上し、ゴルフは特に「アプローチの練習になりました」と、本場で小技を研いて帰ってきた。

日本ツアーは2011年のQTに初挑戦。そのあと東京国際大に進学して籍を置くが、「とりあえず入っておこうかな、という感じだったので・・・」。
いつ入学したかも、何学部かも「覚えていない」と、見かけによらず非常にアバウト。ツアーとの両立が難しく「ほとんど行っていないので・・・まだ1年生のままなんです」。来季はもっと、忙しくなるから当分、進級出来そうにない。

今年は“賞金王”に輝いたチャレンジの星。今大会も“最終戦”の「JGTO Novil FINAL」で今季2勝目をあげて出場権を得た。すでに初シード入りを決めてやってきた自身の今季最終戦で、ツアー初Vのビッグチャンス。

レギュラーと、二部ツアーを同一年に制した選手はまだ、藤田寛之と田中秀道しかいない(※)。史上3人目の快挙達成へ。
自身初の最終日最終組は、3つ上の小平智が「後輩には負けられない」と言ったが「・・・自分も負けらんないですね」。言い方はボソボソと、ちょっぴり頼りない感じはあるが、「内に秘めてます」。先輩の宣戦布告にニコニコと応えた。

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