2年連続で挑戦した日本のナショナルオープンで、優勝とはならなかったが、今年も強烈な印象を残して、主戦場に帰っていった。練習日に一緒に回ったアマチュアの長谷川祥平さんは「ただ、立っている姿がかっこいい」と、まずはモデルばりの長身に、小さな顔で颯爽と歩くそのたたずまいに感嘆したのは、いかにも22歳の大学生らしい。

サングラスを外せば優しい笑顔。大人にも子どもにも、誰にでも分け隔てなく向ける。
それがひとたびティーグラウンドに立てば、どこまでも遠くに飛ばす。予選ラウンドで回った池田勇太も、そして最終日は2人1組の2サムプレーで相まみえた孔明も、アダムのあまりの快打に、さっそくスタートから苦笑いを浮かべるしかなかった。

日本のゴルフ界にとっては前人未踏の領域に、みな口をあんぐり開けて、うっかりすると見失ってしまいそうな豪打の行方を、懸命に追いかけたこの4日間だった。

ただグリーンで上は、来年からクラブの一部を体につけて打つ「アンカーリング」が禁止されることもあり、トレードマークの長尺パターは今週、自宅に置いてきた。先週から使い始めたという35インチのパターはしかし4日間を通して精彩を欠いたが「まだまだ発展途上の課程にある」と4日間とも、絶対に後ろ向きの言葉を吐くことはなかった。

先週は、プレジデンツカップが行われた韓国からそのまま日本に飛び、会場に来る前に、ウェア契約を結ぶ都内の「ユニクロ社」を訪れた。
国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）を通じて難民に、1千万着を目標にりサイクルウェアを送る支援活動を行う同社に自らもウェアを寄付するために立ち寄り、大会期間中はポロシャツの右袖に「UNHCR」の青いロゴを入れてプレーした。
「どんなお古でもいいんです。ユニクロのお店には、寄付用の箱が置いてあるので、みなさんも要らない服があったら、協力していただければ幸いです」と、日本のゴルフファンにも呼びかけた。

大会週の火曜日には、自らジュニアイベントを提案して、日本の未来のゴルファーたちに、自らの経験を語って聞かせた。

「僕がジュニアのときは、あまりトッププレーヤーを見る機会がなくて、海外の有名な選手がたまにくると、とても興奮したのを今でもはっきりと覚えています。それと同じように、日本の人たちも僕のプレーに興奮してくれたのなら嬉しい」。

今年も大好きな神戸牛や日本食に舌鼓を打って、「とっても堪能できた」と、ますます日本びいきに。「またいつか、必ず戻ってきたいと思います」と、約束した。そして「今度は僕が、ヒデキやリョウもこのナショナルオープンに連れてくる」と、請け合った。

36位に終わった昨年は、震災で被害を受けた東北のジュニア育成に役立てて欲しいと獲得賞金を全額寄付したが、今年はさらに、7位タイの520万円を、これまたそっくりそのまま主催者に託して「今年も大好きな日本のみなさんに、大変よくして頂いたので」。アダムは今年も最後の最後まで本当にカッコ良かった。

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