Tournament article
ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2017
時松隆光が2勝目の大チャンス
ゴルフを始めたときからのベースボールグリップは、こんな雨の中でもしっかり握れて「滑るとかはそんなにない」と本人も、言った通りに悪天候の強みかもしれない。
9月のANAオープンで、池田勇太とプレーオフを競り合ったあとから、ますます回復傾向にあるショットにも、不安はない。ブリヂストン社のボールを使い始めたのは、ちょうどその3日目から。「そこでいきなり2位になれたんで」。今季序盤は「何やってもダメ」とあれだけの不振も、9月に2度の2位と道具にも助けられ、この日は得意のパットもよく決まった。
出だしの10番、11番で4メートルのチャンスを立て続けに決めると13番、15番でピンそばのバーディを奪った。
16番でも奥3メートルからバーディパットを決め、17番では3メートルのパーセーブに失敗しても、18番ではすぐにまた1メートルにくっつけて入れた。
折り返して難所の1番、3番、4番を1パットパーでしのぐと、5番では7メートルが入った。ついに最後の9番で、右から沈めた2メートルのバーディパットが、ウィニングパットになるかもしれない。
今朝、コースに来たら、ロッカールームの入り口に、JGTO発信の張り紙がしてあった。
「本日も明日も悪天候が予想され(中略)競技成立の36ホールを目指します」。
もちろんそれはあくまでも、まずは規定のホール数の消化を目指して運営サイドも最大限に尽力するという方向性を示したものであり、けっして今から最終日の中止をほのめかしたものではない。
それでも超大型の台風21号は、月曜日に関東地方を直撃するという。
その影響で、すでに日曜日から大荒れの予報に、最終日の中止もやむなしではないか・・・と噂する選手たちの声が、ロッカーの合間から、時松の耳にも聞こえてきた。
「明日は試合が出来るかどうかも分からない。今日はピンに打てるところはピンに打とう」と、時松も気合いを入れた。
「この雨では僕は余計に飛ばない。2打目をユーティリティで、打つところもあったが、そういうミドルをうまくパーで上がれた。獲りたいロングで獲れた、攻めるところをしっかり攻めてというのが今日は上手くハマった」。
日曜日を前に、まんまと首位獲りに成功して、福岡出身の九州男児の複雑な胸の内。
「明日あって欲しくないと言ったら気ぃちっさいみたい。ずっと2位ばかりだったので。もし明日やって勝てれば今後の自信につながると思いますので。優勝争いしたい」。
一応は男らしく、そう言ってみた。
「来週、先輩プロに茶化される可能性があるので。あわよくば明日18ホールやれればいい」とやる気満々のコメントで返してみたけど、次第に交錯しだした建前と本音。
「もし、明日なくても優勝は優勝。ちょっとだけ“台風来てください”というのもあるかな・・・」。
今夜のリーダーは、普段以上にいろいろ悩ましい夜になりそうだ。