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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2017

今平周吾は最後、誰に2勝目を捧げる?!

今年は不名誉な称号がついてしまった恩人に、せめて最後に1勝を捧げたい。今季、関西オープンで、ツアー初優勝を飾った今平。

6番で右の林に打ち込んだ2打目を今度は木に当てた。「そっちはダメだっつってんのに!」。
エースキャディの柏木一了さんの言うことも、聞いているのかいないのか。
のほほんと、いつでもどこでもピンを狙ってこのホールも、ピンチにまみれた。
5オン2パットのダブルボギーで、重い空気は次の7番ボギーでますます重く。

ここで懸命に、前を向かせた柏木さん。
2人でリーダーボードを確認して「シンゴさんを見てみなよ。1番で、ダブルボギーを打っても6番のイーグルから立ち直った。まだ周吾にも良いことある。チャンスは来る」ととうとうと、言い聞かせた途端に8番のパー3は、グリーンの右端っこに立つピンに迷わず打って3メートルにつけた。

9番では柏木さんをもうならせた。これまた右端から4ヤードもないピン位置に対して、右のラフから3打目のアプローチを高々と上げて、50センチに落として止めた。見事なパーセーブで完全によみがえると、2打差の2位に収まり、やっとこの日最後に「柏木さんの言う通りだった」と言わせることにも成功した。

プロキャディの中で、もっとも活躍した「キャディ・オブ・ザ・イヤー」の選定が始まって5年目。今年もすでに宮崎で、その授賞式が行われて優作を、3勝に導いた青山邦仁さんが栄冠に輝いた。
その席で、同時に発表されるのが「ダメ・オブ・ザ・キャディ」。
その“栄えない”賞を受け取ったのが、柏木さんだった。

今年は10月のWGC・HSBCチャンピオンズの3日目に、遅刻・失格という失態をやらかした全責任を「俺が背負う」と帰国後に、懺悔の坊主頭になっても“ダメキャディ”の称号は、免れなかった。

しかも今季、今平の初V時はたまたま女子大生キャディにバトンタッチをして、柏木さんは美酒すら味わえなかった。
柏木さん自身の勝利は、2015年のフジサンケイクラシックで金庚泰(キムキョンテ)のバッグを担いでから、遠ざかったまま。

「最低は1回でも勝たしてくれよお・・・」と、つい恨み節で、シーズン最終戦での今季2勝目を乞い願った柏木さん。
「1回は・・・って、もうここしかないですよ」と、さらっと今平に言われて、今度は愕然。
「もうここしか、って・・・。俺、来年はクビなのか??」。
蒼白な柏木さんを見ながら、ケラケラと笑った今平。
年の差で言えば父と息子と言ってもいいくらい。
とにもかくにも今年は色々あっても先週までは、賞金レースの渦中にいた25歳の活躍も、この人あってこそなのである。

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