Tournament article
フジサンケイクラシック 2020
星野陸也が大会2勝目。プレーオフ3ホールの力闘
若き飛ばし屋は、大学先輩にも遠慮がなかった。
18番で雨中のサドンデス。
日大時代に指導を受けた、堀川未来夢を相手に「自分の持ち味で、圧倒しないといけない」。
300ヤードの飛距離を誇る。ドライバーを振り続けて追い詰めた。3ホール目に6メートルのバーディで決した。
2年前のツアー初Vは、6打差の圧勝だった。
家族と涙の抱擁で、もみくちゃになった。
だが、コロナで今年は静かなV争い。
バーディパットも、ナイスセーブも「拍手が凄い力になる」。
だが、無観客ではそれも望めない。
同級生キャディの小沼泰成さんと声を出しあった。
「自分らで盛り上げようと頑張った」。
かわりにテレビの向こうのファンを思った。
「見に来ていただけないからこそ、いつも以上に良いプレーを見せたい。すごく、思ってました」。
新様式の熱戦を届けた。
「コロナの中で開催していただいたことを、選手として感謝しなければいけない」。富士桜で2度目の表彰式でも思いがあふれた。
「今回は4日間、競って勝てた。前回とは、また違った優勝となりました」。
大会2度目の勝利は大混戦となった。1差の首位で最終日を出て、7番ではティショットを池。ダブルボギーを打つなど途中、逆転を許した。
12、14番のバーディで、再び追いついたが「よりによって」16番のパー3でボギーを叩いてまた後退。
今年から、星野が契約を結んだ日清オイリオ提供のホールインワン賞700万円がかかる大事なホールだ。
「ムカついて、次の17番では振りちぎった」。
パー5の2オンで、奥からの長いイーグルトライは惜しくも外したが挽回のバーディで、堀川を再度捕えて大接戦の死闘を制した。
コロナ禍の自粛期間は「試合をやりたくて仕方なかった」という。
焦れる時間をすべてゴルフに費やした。
「クラブのこと、体のこと、スイングのこと。ゴルフのことばかりを考えた」。
得意の卓球に、ゴルフのヒントを見出し、大リーグの大谷翔平選手の二刀流を、スイングに取り入れてみたりもした。
「長い休みを活かしてやりたかったことが、たくさん出来た」。前向きに努力を重ねたご褒美は10月、「ZOZOチャンピオンシップ(カリフォルニア州シャーウッドCC)」の出場権。
「自分がどこまで通用するか。よいチャレンジ。しっかり活躍できるように頑張りたい」。
20ー21年のロングシーズンではこのツアー3勝目を契機に「4勝、5勝と増やして賞金王を狙っていく」。
試合ができない間も若い情熱を、燃やし続ける。