木下稜介の逆転・賞金王が消えた。
賞金2位で入った今大会は優勝か、単独2位が条件だったが、通算3オーバーで最終戦を戦い終えると、しばらく声も出せなかった。
「賞金王を目指して今シーズンやってきましたし、スポンサー含め、応援してくださったみなさまの期待に沿えない形になってしまったことが、一番悔しいです」。
やっと重い口を開くと、必死にこらえていた涙も一緒にこぼれた。
「生命線」というショットに、ほころびが出始めたのは、佳境を迎えた先週の「カシオワールドオープン」あたりから。
「そこに不安要素をもってこの2戦の戦いでした」という。
奥嶋誠昭コーチの力も借りて、最後の4日間も懸命に修復につとめてきた。
「少し左に出てしまうのを、右に行かそうとして、今度はプッシュアウトしてしまう。イメージがゼロの状態で、今週はちょっとしんどかった」と、息を吐く。
「技術の低さ、まだまだだな、というのを感じました」と、今は悔しさが募るばかりだが、プロ8年目の今季は初優勝からの連勝。全英オープンで初メジャーも経験し、視野を大いに広げた。
「世界のレベルは高くて、心が折れそうになったんですけど。そこを目指してやっている」と、世界進出への夢も広げた。
「今週、負けたことで、賞金王を獲りたいという気持ちもまた強くなりました」。
涙を拭いて、また立ち上がる。