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東建ホームメイトカップ 2022

倉本昌弘が9年ぶりの開幕戦。掲げた3つの目標

構えて打つまで3秒にも満たない。

66歳になっても切れ味鋭い早打ちは相変わらず。

 

愛称マッシーこと倉本昌弘が、2013年以来となる開幕戦出場を果たす。

 

開幕前日の練習ラウンドをしながら「顔ぶれがずいぶん変わったので。顔は知っていても、声をかけたことがない選手がほとんど。新鮮ですね。JGTOの良さを感じたい」と、9年ぶりの空気を今なお若々しい胸板に、たっぷりと吸い込んだ。

 

史上5人しかいないアマV達成者で、1981年のプロ入りからツアー通算30勝を誇る永久シード選手のひとり。

 

1992年から1999年と、2012年にジャパンゴルフツアー選手会の会長を歴任して、58歳の2013年には世界最少の「59」を記録。

 

数々の足跡を残してきた。

 

2014年に、主にシニアツアーを統括する日本プロゴルフ協会の会長に就任してからは、レギュラーツアーはもっぱら同協会が主催する「日本プロゴルフ選手権」でのスポット参戦に限られたが、今年3月の任期満了を契機に、競技に復帰。

 

主軸はシニアツアーに置きながら、その空き週にレギュラーツアーに出る計画だ。

 

当面は、次の「関西オープン」や「ミズノオープン」など5、6試合を予定し、「今年1年で、40年近くお世話になってきた方々にお礼を言って回る」と出場の狙いを話したが、「出るからにはだらだらとしたくない」と、掲げた目標は3つ。

 

1)予選通過

「もちろん、僕の出場枠ではあるんですけど、その分誰かの枠を取っているわけだから。ファンの方から見ると、なんであんなロートルが出てくるんだ、と。若い選手を出せと思う気持ちはわからなくない。その分しっかり予選通過はしたい」

 

2)恩返しと盛り上げ役

「僕を見に来たいと仰るギャラリーが少しでもいれば、少しでもお役に立ちたい」

 

3)エージシュートの達成

「レギュラーツアーでは、ジャンボ(尾崎将司)さんしか叶えられていない(2013年つるやオープンと2017年ホンマツアーワールド)。私も今年、どこかで達成できればいいな」


  

初日は8時に10番ティから、昨季賞金3位の木下稜介と19歳の久常涼とスタートする。

 

「とても楽しみだし、ほかにも賞金王のチャン・キムや、星野陸也選手など、注目している選手はいっぱいいます」と話す一方で、「本来なら年間何勝してもおかしくない選手が年間1勝とか2勝しかできていない」と、残念がる。

 

「僕らの時代は強い選手が年間3勝、4勝、5勝と勝って印象づけたが今の選手は印象づける前に終わっちゃう。試合数も少ないから1ヶ月、2ヶ月と空くと印象が薄れちゃう。良い選手はいっぱいいるのに、それが表に出ないというのが凄くもったいないと感じています」。

 

構えてから打つのも早いが、要職をつとめてきただけに、質問に対して瞬時に要点を整理して、的確、かつ含蓄たっぷりに自身の意志を伝えるスピード感も抜群だ。

 

「我々はまず取材をしていただくことが一番で、それが記事になって初めて表に出て、ファンの皆さんにも見てもらえる。いかに記事にしてもらうかをちゃんとやっていけばファンはついてきてくると思うし、今の女子とは違う男子のコアなファンも絶対にいてくれるはずなので。それを大事にしていけば、試合も少しずつ増えていくと思います」と、若い子たちへのメッセージも的確だ。

 

”闘う会長”として出場した昨年7月の「日本プロ」では星野と石川遼と回り、ティショットで平均560ヤードは置いて行かれたが、「今の選手が飛ぶようになって、僕が落ちてるから当然」と意に介さず「飛距離とスコアは関係ないからね」。

史上7人しかいない、永久シード選手の矜持が覗いた。

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