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ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 2022

大会発足のきっかけはスーツのげんちゃん?! 時松隆光「初めてこうして形にすることができた」

ジャパンゴルフツアー選手会の前・体制の熱意と地道な努力が新・体制でひとつの形になった。

 

それが今週の新規大会ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」だ。

 

発端は昨春、コロナ禍で行われたあるプロアマイベントのとき。

 当時、出場招待を受けた麻生健・大会実行委員長が会場の芥屋(けや)ゴルフ倶楽部の玄関をくぐると、ビシっとスーツを着た前・選手会長の時松隆光(ときまつ・りゅうこう)が待ち構えていて丁重に出迎えてくれた。

 

麻生・理事長は以前、ブリヂストンスポーツでゴルフトーナメントに携わっておられた経験を持つが、「男子プロでは今まで見たことのなかった光景。あまりにも好印象で、男子ゴルフは変わったなと実感しました。何か応援したいという気持ちになりました」という。

 

折しも、麻生グループが創業150周年を控えて創業地の福岡県飯塚市で、何か地元に貢献できる記念事業を、と計画を練りはじめておられた頃。

 

ゴルフファンが非常に多い土地柄でもある。

 「麻生飯塚でゴルフトーナメントを開いたらどうか」という麻生・理事長の思いを知った時松は、すぐに企画書を作成して理事長室を叩いた。

 「正式に営業させていただいたのですが、僕の資料なんか要らないくらいに理事長が運営に関して段取りをしてくださっていて・・・」。

 とんとん拍子で今季のスケジュールに組み込んでいただくことができた。

 

今年1月に谷原秀人にバトンを託すまで、まさにコロナ禍に翻弄された2年間の選手会長職だった。

 

「一昨年は試合が開催していただけなかったり、選手のみなさんにはご迷惑をかけたんですが、初めてこうして形にすることができて、支えてくれた選手のみなさんにも恩返しできたのかな、と」。

 時松にはとりわけ感慨深い。

 

大会名にもある「チャレンジド」とあるように、通常トーナメントなら、スポンサーやゲストと回る本戦前日のイベントも、車いすマラソンや同テニス、パラ種目のゴールボールなど、障がい者スポーツに相当の力を入れておられる麻生グループならでは。

 



8日の水曜日はプロと障がい者ゴルファーとの「プロアマトーナメント」と、特別支援学級に通う小中学生を招いてプロと一緒に楽しむ「スナッグゴルフ体験会」の二本立て。

 

時松は、世界障がい者ゴルフランキングの日本選手1位でPGAのティーチングプロ資格を持つ吉田隼人さんとプレー。



 

吉田さんは、20代のバイク事故で右太ももから下を無くされたそうだが、リハビリで27歳からゴルフを始め、今では2028年のロス五輪でパラゴルフの正式種目入りを目指す、第一人者のおひとりだ。

 「飛距離も負けるし、アイアンも僕より一番手上で打たれることもあった。いやもう、僕が何もアドバイスする必要ないくらいにお上手で素晴らしかった。パワーをいただきました」と、感嘆した。



 

9日からの本戦でも、大会では車いす用の観戦エリアを設けるなど障がいの有無にかかわらず、どなたにもゴルフを楽しんでいただけるような運営が尽くされる。

 その中で、選手たちが全力プレーで魅せるのはもちろんだ。


「いま、男子ゴルフは層が変わって、親しみ深い選手が増えていると感じる。この大会をきっかけに、さらにファンを増やして、次のステップを踏むきっかけにしていただければいいなと思います」と、麻生・理事長も期待を寄せる。

 

「僕ら選手が新たに大会を開催してくださった主催者のみなさまをがっかりさせないように。いま、男子ゴルフは非常にレベルが高いので、選手のみなさんも結果で返してくれると思う。大成功で終われるように、僕もできることがあればなんでもやらせていただきたいと思います」と、時松も並々ならぬ決意を見せる。

 

主催者と、選手会の思いが詰まった新規トーナメントがまもなく幕を開ける。

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