プロ4年目の織田信亮(おだ・のぶあき)が「ティショットもセカンドショットも、パットも入って、獲れるところはしっかり獲れた」と、一点の曇りもないゴルフでリーダーボードに名前を載せれば、誰でも聞かずにいられない。
織田信長公の末裔なのか?
やはり来たか、という笑みを浮かべて応じた。
「一応、ないって言っています」。
おじいさんが織田家に養子に来たのは間違いないそうだ。
しかし、それ以前の家系図を辿るすべがなく、血縁があるかどうかは不明。
それでも、男子の名前に「信」を入れるのは家伝のようで、お父さんの信久さんは、息子の命名時に尊敬する諸葛「亮」孔明の一字を加えたといい、「最強の軍師と、武将の名前が入ってます」と、誇りを持つ。
本人も歴史が好きで、尊敬する人に「真田幸村」を掲げ、幸村ゆかりの城を巡るのも好きだ。
「子どもの頃からドライバーを振り回し、飛距離には自信があります」と300ヤード飛ばし、「3Wだと飛びすぎるから」と、かわりに4Wをバッグに入れて、4番パー5の2オン→バーディから3連続につなげた6番パー5のティショットでも使うなど、今週も大活用している。
福井県の出身で、福井工業大付属中→高校から「ゴルフも、勉強も」と、福井工業大学の工学部原子力技術応用科に進み、3年在学時にプロ転向。
卒業を翌年に控えた昨年は、ファイナルQT会場で原子力がテーマの卒論作成に励みながら、16位に入って今季の初メンバー入りを果たした。
福井県には原発が多く、東日本大震災時の福島県の事故をきっかけに関心を持つようになった。
「プロゴルファーでなければ東北電力や、関西電力の就職を目指した」と、話す。
今大会の兄弟試合にあたる、次のABEMAツアー「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI(7月21日ー23日)」では、運営費をクラウドファンディングで募っており、6月30日の締め切りを控えて、目標達成額まであと76万円ほど。
「会場も、いつも練習させていただいているコース(越前カントリークラブ)ですので、盛り上げたい気持ちが強いです」と恩義に厚く、地元プロとして、知人やSNSなどを通じて寄附を呼びかけるなど、義理堅い。
ジュニア期からの仲良し同級生キャディの眞銅彩加さんが、まもなく3度目の女子プロテスト受験を控えて、今大会が副業の“引退試合”。
親友との最終タッグで忠義に応える初優勝の天下取りならかっこいい。