セカンドラウンドを終えて単独トップに立っていたのは福井工業大学の@髙宮千聖さん。通算13アンダーで2位以下に3打差をつけてのスタートし、ファイナルラウンドは5バーディ、4ボギーの1アンダー69でラウンド。通算14アンダーでABEMAツアー史上6人目となるアマチュア優勝を飾った。
スタート前は自分のプレーとコースに集中することだけを考え、不思議と緊張はしなかった。しかし、スタート間もない3番ホール(パー3)でティショットでキャリーでグリーンオーバーさせてしまうミス。ここでちょっと違うなと感じる。
「自分のイメージと実際に出ている球が全然違うなと思い、そこから何かずれていった感じです」。
そこからは必死で自分のゴルフと向き合った。同じ組の嘉数光倫がいいプレーをしていたこともあり、落としたら勝てないという思いで耐えるゴルフを貫いた。
ショットがかなり荒れて苦しい最終日になったが、そんな髙宮さんを支えたのが同じ福井工大のゴルフ部の後輩・曽山正太郎さんだ。
「昨日まではラインや距離を確かめるくらいの会話だったんですが、今日は結構喋って、痺れている場面で声をかけてもらったり、緊張をほぐしてもらいました」。
プロを相手に逃げ切ることの大変さを体が反応して、意図的に話しかけるようにしていたのかもしれない。
勝負どころは終盤の17番パー3。14番、15番とバーディチャンスを外し、嫌な流れでむかえた16番ホールでボギーを打ってしまう。この時点で嘉数とは2打差。続く17番パー3はティショットを左に外してしまい、アプローチも寄せきれず5m弱のパーパットを残す。先にバーディパットを打った嘉数がこれをねじ込んだため、パーパットを外せば並んで最終ホールというところで踏みとどまった。
「ここは絶対に入れるという強い気持ちで打ちました」。
1ストロークリードでむかえた最終ホールはパー5。3打目を2mにつけて、これを入れれば優勝というプレッシャーのかかるパットを見事にねじ込み優勝を手にした。
「今日は最後から最後までギリギリのところで戦って、最後までがむしゃらにただ頑張っただけです。こういう大きい試合で優勝争いをしたのも初めてなので、本当にいい経験になりました」。
このあと、プロ転向するかはゆっくり考えるとのことだが、また一人将来楽しみな大型プレーヤーが誕生した。