今季初Vを狙うプロ7年目の星野陸也(ほしの・りくや)が初日に「63」。
1日7つのバーディは、10メートルを沈めた17番(パー3)以外はすべて1メートル内。
スタートの1番、10番ではいずれも2打目が50センチとショットがビタビタだった。
パーオンに失敗したのも、ティショットを左のラフに外した前半4番のパー3だけ。
この日唯一のピンチらしいピンチも、1メートルのパーパットをしのいでボギーなしで上がってこられた。
「今年はいろいろありましたけど、ようやく調子が戻ってきました」と、久しぶりに頬が緩んだ。
今季未勝利だが、開幕から出場6試合でトップ10入り。現在の賞金ランキングは11位と、数字だけなら悪くない。
それでも、「なんでこんなに上手くいかないんだろう…」と、嘆きたくなるのが不運続きの6月以降だ。
5月の全米プロから、1日36ホールで競った全米オープンの米国予選を突破していったん帰国。初の日本タイトルを狙った6月の地元開催「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」では胃腸炎を患いながらV争いした。
4日間ともお母さんのおかゆで乗り切ったが、単独トップで入った最終日に「76」と崩れて7位タイ。
プレー後は“陸也くんファン”を公言する地元ジュニアたちが心配するほど顔色が悪かった。
オフの間にせっかく80キロ台まで増やした体重も一気に6キロ減。
疲れを残したまま、またすぐ全米オープンにむけて出発し、今度、帰って選手会主催試合の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」に臨んだが、疲労は溜まる一方だった。
翌月の「全英オープン」では、イギリスの空港で大事なキャディバッグを失い、やっと1ヶ月後に見つかるまで長くエースクラブの代用を強いられるなど、7月以降は、20位前後と「こんなにトップ10に入れなかったのもなかなかない」と、納得の順位が残せずにいた。
「海外から帰っても、世界ランキングを落としたくなかったので休みなくぶっ通し。疲れの蓄積なのか、なかなか体重も戻らないし、体も回らない」と、健康時に毎秒53メートルを誇ったヘッドスピードは、同51.5メートルまで低速。
「それでも飛距離を落としたくないからスイングを変えたり、いろいろやっても上手くいかなかった」と、もがき続けて先週の「日本オープン」では今度、もともと弱点の首痛を発症して無念の途中棄権。
「けっこうムリしていた部分が出てそれがこんがらがってしまった」と、もつれにもつれた糸がほぐれるきっかけは、楽しい我が家だ。
開催地から車で約30分の笠間市出身。
「家に帰れば、食事も洗濯もしてもらえる」とお母さんの献身でリフレッシュ。「服とか荷物を持っていかなくても済む」と、身体共に軽やかに挑める。
今大会と同じ、石岡ゴルフ倶楽部で行われた「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」は日大後輩の桂川有人に初優勝を許して2位だった。
シーズンもいよいよ大詰めを迎えて「目標は、最低年間1勝です」と、2018年の初優勝から4年続ける連続優勝も、大いに意識。
「今週、ここ地元で達成できたら一番最高かな、と思います」。
今季初優勝なら一気に晴れる。