JGTO主催の日本タイトル戦は、初日から延々、1番ホールから出るワンウェイ方式だ。
長い長い1日の最初に、いち早く速報ボードのてっぺんを捉えた。
プロ3年目の米澤蓮(よねざわ・れん)が、「64」を記録。
8バーディと、ボギーはティショットを右に曲げた14番のひとつだけ。
「パットがよく入ってくれた」と、初日から13.5フィートを記録した宍戸の高速グリーンで稼いだスコアがとりわけ嬉しい。
テレビ中継のウッズに憧れゴルフを始め、小学時代の「東北ジュニア」で5勝。
盛岡高校時は「東北高校選手権」で3連覇と勝ちまくり、東北福祉大では18年のアジア大会で、大学先輩の金谷拓実や1つ下の中島啓太らと金メダルにも貢献した。
プロの試合でも活躍し、19年の「パナソニックオープン」では1差の2位と快挙に迫ったが「まさに病気のように突然来た」と、手が過剰反応するパットのイップスを発症したのは、プロ転向を年末に控えた2021年。
杉原大河(すぎはら・たいが)や中島啓太(なかじま・けいた)と共に、本大会史上初のアマ出場を果たした時期とちょうど重なり、「あのときのここが一番、ピークで。戦う中で自信が持てなくなり、うちのめされるのが、技術に出てくる・・・。当時は30パットを切るのも大変でした」と、2022年のデビューで躓く要因に。
その分、この日の「23」パットはとりわけ感慨深い。
丸2年の格闘に、恩人への感謝も増す。
アマのナショナルチームでお世話になったJGA公認コーチのガレス・ジョーンズさんが先週、欧州から来日。
米澤も久々にコーチングを受けて「いろんな練習方法だったり、新しいことを取り入れた成果が出ているのかな。苦しい時に聞ける人、頼れる人がいるのは何より心強い」と、因縁の宍戸で好発進につなげた。
同世代の活躍が続く昨今。
「自分も、と焦りもありますし、いいなあ、と思う部分もありますが、優勝は狙って勝てるものでもない。今は我慢と言い聞かせてやれればいい」。
初日に選んだウェアは「蓮=れん」の名前も彷彿させる大きな花柄。
遅く咲く花は、そのあと長く咲き続けるともいわれる。