でも、この日は7時05分のトップスタートに合わせて4時50分の早起きだった。
ティオフしてしばらくは頭も体も起ききらず、「眠かったのもあって。最初パターが入らない。イライラしてきたくらいから、そのイライラで目が覚めてきて。やっと入り始めた」と、1メートルを沈めた16番から連続バーディを記録。
「そこから流れがよくなりました」と後半に入って3番から2メートル⇒2メートル⇒OKバーディと3連続バーディも来た。
最後9番も、4Uで6メートルに乗せたイーグルパットも決まり、6アンダーの「66」で午前の暫定トップに立ったが「きょうはあまりにもショットがチャンスについたので。何個も外しまくり。あと3つ4つはいけたんじゃないか…」。
6アンダーの「66」で通算スコアを11まで伸ばして、暫定のトップタイでホールアウト。
週末に、大いに伸びしろを残して、決勝ラウンドに進出した。
18年秋にプロ転向し、19年はアジアンツアーの下部ツアーで1勝を飾った。
日本ツアーは本格参戦初年の21年に、開幕から出場5戦でトップ10を続けるなど、レギュラー昇格で片鱗を見せたが昨季、歩行も困難なひざ痛に苦しめられ、シード落ちを喫した。
ファイナルQT11位の資格で、出場権を取り直した今季も、「いま思えば取りつかれたように試合に出すぎました。休んでしっかりひざを治すべきでした」との悔恨を教訓に無理をせず、体を第一に復活に取り組み、夏ごろからようやく兆しが見えてきた。
「まだほかの選手よりは練習はできていないですが、去年はひざが痛かったからあんなつらいことがあったなとか、最悪の経験をしているのであの時の自分より体も動くし、いいプレーができるし幸せと、思いながらプレーしている」と、噛み締めながらのV争いだ。
同学年には、昨年の日本オープン覇者の岩﨑亜久竜(いわさき・あぐり)や、ツアー1勝の片岡尚之(かたおか・なおゆき)らがいるが、「優勝したいと思ってできるなら、すでにしていると思うし、僕は僕。きょうはしっかり昼寝をして、体を休めて明日また元気に頑張ります」。
ちょっぴり遠回りをしていた大器が、記念大会の輪厚で初Vを目指して羽ばたき始める。