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東建コーポレーションカップ 2000
芹澤信雄が、96年の日本プロマッチプレー以来、4年ぶりの優勝。
通算6アンダーで、東聡と並んで迎えた18番パー5。残り129ヤードの第3打は、ピッチングサンドで「いっぱいいっぱいの距離」。歯を食いしばって打ったショットは、ピン手前1.5メートルにピタリと止まった。
「2段グリーンの上に止まればいい、と思ったショットだった。思ったように打って、思ったとおりに乗った。鳥肌がたちましたね」(芹澤)
鳥肌は、最後のバーディパットを打つまで収まらなかった。「早く打ってしまいたい」久しぶりの優勝を前に、気持ちが急いた。その気持ちを見透かすように、1メートルの、芹澤と同じくらいの距離のバーディパットを残していた桑原克典が言ってきた。
「『芹澤さん、僕が先に行っていいですか』・・・だって!桑原君は僕がそのパットを絶対入れるだろうと思って、最後にウィニングパットを打たそうとしてくれたんだろうけど、それがよけいプレッシャーになっちゃうし、早く打ち終えてしまいたいし・・・。桑原君を待ってるあいだは、心臓が飛び出そうでした(笑)」(芹澤)
ガッツポーズなど、さまざまなリアクションも頭にはあったが、1.5メートルのバーディパットを沈めた瞬間、それらはすべて消え去った。低迷から3年。「もう勝てない」とあきらめかけたこともあった。苦しみから開放されて芹澤は、足が震え、思わずその場にしゃがみこんでいた。「よくやったな」と、自分で自分を誉めた瞬間だった。