Tournament article
JCBクラシック仙台 2000
「勝つときってこんなもの」
この試合は(98年大会は、椎間板ヘルニアの大手術からの復帰戦だった)…なんかあるんでしょうね。でも…きょうは手嶋(多一)さんの初優勝かな、と思っていたし、自分には、まったく勝とうなんて気がなかったし、上位にいこうなんて気もなかったから、冷静でした。ラウンド中、『きょうは僕は見学者ですから、2人で頑張ってください』と檜垣さんに話したくらいです。
でも、檜垣さんは表情がこわばってしまっていましたね。手嶋さんも10番から、顔つきが変わってしまっていたような気がします。プレッシャーでしょうか。きょうは僕は、朝から首が痛くて、途中でやめるかもしれない、ということを(用具契約の)ダンロップの人に話していたんです。
痛さで首がまわらなくて、朝の練習でも、シャンクとトップばかり。それで早めにショットの練習を切り上げて、イギア(ツアーに帯同しているフィットネスカー)の方にマッサージをしてもらって、パッティングの練習にいったのは、スタートの10分前。10球くらいしか、練習できてない状態で。(首を左にまわすと痛いので)キャディにきょうは左側に立たないで、とお願いしたくらいです。でも以前に、深堀(圭一郎)さんに、調子がいいときに連戦していると、優勝する前後には首が痛くなる、という話しを聞いたことがあるんです。この首の痛みは、調子の良さのあらわれだったんですね。
(12番、13番で3メートルくらいのバーディパットを沈めたりと)パットが入り出してビビリ出してしまった。14番ショートでは檜垣さんも手嶋さんもグリーンをはずしたりして、待ち時間があったりしたこともあって、近くについたけど(ピンまで約 1メートル)痺れてはずしてしまいました。
(ショットを曲げた)16番は冷静でした。横にぽんと出して、乗せてパーでいいや、と。パーパットは6メートルくらいありましたかね。あれが入ったとき、なんか、リードしたと思いこんでしまったんです(実際は、通算16アンダーで桧垣とタイだった)。
(本戦の)18番ホールのバーディパットが外れて、OKの距離についたときも、なぜか勝ったと思ってしまった。すでに、1打リードしてると思ってしまったんです。『勝ったな』とキャディに声をかけたら、『一緒です』って。それで我にかえりましたね。大きな勘違いでした。
プレーオフの1ホール目(片山は2打でピン手前1メートル、檜垣は3オンのピン右4 メートル)のバーディパットは、思ったとおりに打ったつもりが入らなかっただけ。ミスパットじゃないですよ。
(プレーオフ2ホール目の)17番ショートは、(ピン奥2メートル)馬の背のラインだったので、入るとは思ってなかった。で、『18番に行こう』(プレーオフは、18番 →17番→18番ホールの繰り返し、サドンデス)と思いました。(プレーオフ、3ホール目で片山はグリーン奥カラーからピン1メートルに寄せてパー、檜垣はグリーン手前のラフからピン手前3メートルのボギーで決着)。
昨年(98年)の初優勝(8月のサンコーグランドサマー)のときは、周囲がまったく見えてなかった。でもきょうは冷静で、誰がどこにいるのかが、きちんと見えた。いま思うと、きのうの17番、18番をバーデイであがったのがめちゃくちゃ大きい。
きょうは、『これが入ったら、流れが変わるかな』と感じたものが、きちんと入った。勝つときって、きっとこういうものなのでしょうね」