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住友VISA太平洋マスターズ 2000

「僕の誕生日にそれはないよ」

芹澤信雄は、弟子の快挙に複雑な胸のうち

 宮本の快進撃に気をもんだのは、この日41歳の誕生日を迎えた師匠の芹澤信雄だ。「宮本が8アンダーにした14番からはもう、自分のプレーそっちのけで、宮本のスコアばっかり気にしちゃって。最後のロングはあいつ絶対取ると思ったし、ほんと、ヒヤヒヤだったよ」。

 宮本の好スコアの源となったのは、実は、何を隠そう芹澤自身だった。
10月のブリヂストンオープンのとき、宮本のパッティングのストロークがスムーズでないことを指摘。「もっとフォロースルーをきちんと取って行くようにしなさい」とアドバイスを送って、この結果。
 宮本も「師匠の言葉を信じて、信者のようにフォロースルーを出していったら今までの倍以上は良くなった。距離感も合ってるし、狙ったとおりに打てる。速いグリーンだからって、緩めちゃいけないんですね。これくらい入ると、楽しくて仕方ない」と、師匠に感謝だ。

 もちろん、弟子の活躍は嬉しい。だが芹澤は、ここ御殿場のコースレコード記録(64)保持者でもある。たとえ弟子であっても、抜かれたくないライバル心。「よりによって、俺の誕生日に記録更新しなくたっていいだろう…?」複雑な心境で宮本のスコアを見守ったわけだ。

 「18番のティショットを打つときに、宮本の18番がボギーと知って、ホっとしちゃった」のもまた本音。
 「ロングホールでボギーなんて、ダサいよね」とのコメントで、弟子に対してつい、むきになってしまった決まり悪さをごまかした芹澤だった。

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