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JGTO TPC イーヤマカップ 2000

カップを切りはじめて10年

 大会3日目。坂本さんは、アウトコースのカップ切りを担当。
 18番とのダブルグリーンとなったこの日の9番。競技委員が記した、手前から39ヤード、左から4ヤードの位置に、ホールカップと呼ばれる機械をぐっと垂直に刺し込む。(=写真)。
 「このときどうしても、利き手の右側、そして体重をかけるつま先側のほうにカップが傾くことがあるんです。初めてカップを切った10年前は失敗ばかりで、旗を立てても右に傾いてしまったり大変でした」と坂本さん。
 どうにか一人前に切れるようになれるまで、5年はかかったと話す。
 カップの切り方は、まず芝から地下10センチくらいを先に掘り返し、いったん型を横に置き、再び、ホールカップを刺し込む。今度は30センチくらいまで深く。底まできれいに抜き取った土はバケツに捨てて、カップのまわりにプラスチックの枠をはめこむ。仕上げに、ピンを立てて完成だ。
 「抜き取った土は、たいていの場合、前日までのカップを埋めるのに使われますが、私どものほうでは、捨ててしまいます。なぜなら、土の中に残った芝の根が、埋めた穴の中で発芽して、腐ってしまうことがあるからです。古いカップ跡には養分を含んだ新しい土を入れるようにしております」。
 新しくカップを切って抜き取られた土は、芝のついた部分の上10センチくらいだけが、前日のカップを埋めるのに使用されるわけだ。
 埋めたあと、グリーン上についた丸いカップ跡は、グリーンフォークを使って、坂本さんの手で丁寧にならされた。
 次に坂本さんは、再び新しく切られたカップ位置まで戻り、何度もボールを転がした。
 「ピンを刺したままでも、ボールがカップにうまくカップインするかどうかのチェックです。カップがゆがんでいると、ボールはピンにひかっかって、あわやチップインという場面でも、カップから押し出されてしまいます。
 それと、カップの50センチの周囲の芝に、波が立ったり古いカップ跡が盛りあがっていないかどうか。この範囲は、最後のひと転がりに左右する非常に大事な箇所。窪みに球がけられたりして、勝負に影響が出ると一大事ですからね」。
 話しながら坂本さんは何遍も愛しむようにグリーンをならした。心のこもったメンテナンス。坂本さんら、コース管理の方々の手で丹念に仕上げられた舞台で、いよいよ、初代チャンピオンが誕生する。