Tournament article
JCBクラシック仙台 2001
「本当は、自分の上に、12アンダーの人がいると思って・・・」
最終日は、通算9アンダー。2位の手嶋と、3打差首位からのスタート。
しかし、小達は、「本当は自分の上に、12アンダーの人がいる・・・そう思ってゴルフをしよう」と決めていた。
連日、ワンオン狙いの3番パー4(328ヤード)。やはりこの日も、果敢に攻めた。
同組の手嶋、マークセンを先に打たせ、前組のホールアウトを待ってティショット。
その結果、右手前バンカーのヘリに落ち、かえって難しいアプローチが残ったりもしたが、小達の気持ちはいっこうに緩まない。
前日に引き続き、表蔵王には強い風が吹き荒れていた。
連日の快晴続きで、グリーンは日増しにスピードを上げていた。
小達自身、「気持ちがボールに行っているから、インパクトで体が突っ込んで、若干、スィングのズレも生じていた」。
そんな状況で、攻めていくのは、危険が伴う。
実際、この日、前半9ホールでパーオンしたのは「たった2個だけ」。
それでも、最後まで考えを変えなかったのは、「今後につながるゴルフがしたかったから」だという。
「安全に刻んだり、差を守ろうとする“今日だけのためのゴルフ”は、それだけで、終わってしまう・・・。
だから、今日はたとえ何打差つけようと、競り合っているつもりで、プレーをしようと思っていた。いつものゴルフが、したいと思ったんです」
6番パー3で、グリーン右ラフからピンまで10ヤードのアプローチをチップイン。
手嶋との差は6打に広がったが、「やっぱり、まだ自分の上の人がいると思ってやった」と、再三のピンチを拾いまくり、首位の座を守りきった。
「あれだけしのげたし、今日は合格点」としながらも、ただひとつ、悔やんだのは16 のティショットだ。
ドライバーでのショットが、フェアウェーまで届かなかった。一見、チョロにも見えるミスショット。
「でも、あれは、決してちょろじゃないんですよ!」と優勝インタビューで言い張って、観客の笑いを誘った小達。
「あのホールは、毎日すごいアゲンストでいつもより低くティアップして、ボールを右目に置いて、上からつぶすようにパンチを入れないと、持ってかれるんです。それが、今日はやっぱりいつもより、体が突っ込んでミスしてしまったんですけど・・・でも、あんなショットがテレビに映っちゃって、恥ずかしいなあ・・・(笑)」
そのホール、ボギーとし、その時点で4打差。
プレッシャーと戦いながら、もう一度、気を入れ直して残り2ホールへ。勝利へ向かって突き進んだのだった。
この日、貫いた攻めの姿勢は、今後のツアー人生でも同じだ。
「努力しなければあっという間に置いていかれる仕事ですから・・・」
内藤雄士コーチと取り組んだ、2年半のスウィング改造も、これで終わったわけではない。
「完成度は、まだ50パーセント」と、さらなる高みを目指して、前進しようとしている。