Tournament article
〜全英への道〜 ミズノオープン 2001
「いま、すべてが“好循環”なんです」
インタビュールームで、報道陣にプレーの内容を説明する倉本の声が弾む。
5番、399ヤードのパー4。ピッチングウェッジで打った残り128ヤードの第2打は、「すっごくいい球で・・・ボールが一瞬、ピンに重なって、そのままパっと消えたんだ。キャリーでカップインだよ!! カップの左淵を壊して直接、入っちゃった!」
この日初日、ラフに打ち込んだのは、「4番ホールだけ」とショットが冴えて、1イーグル、3バーディ(2ボギー)の69、3アンダー6位タイの好スタートを切り、「今はゴルフが楽しくて仕方ないんだ(笑顔)」。
もうすぐ、「1周期」(倉本)を迎える。
心臓弁膜症の大手術を受けたのが、昨年6月の26日。
手術前と後とでは、「新しく、体が生まれ変わったようだった」と振り返る。
体の異常に気づく前は、30分のジョギングがきつかった。
ただ、歩くだけでも息があがり、不規則な、胸の鼓動がした。
しかし、異常に気づかず、無理を続けた。
それまでの、長い選手生活のきしみもあった。
金属疲労を起こしていた筋肉は、倉本から徐々に飛距離を奪い、「飛ばないから、飛ばそうとして力み、力むから、またスィングを崩し・・・あのころは、本当に悪循環でしたね」
だが、手術の成功で病を克服したこと、また、術後の長い休養が、倉本を心身ともにリフレッシュさせ、「僕が30歳だったころよりも、今のほうが若返ったような気さえする」というのだ。
「飛距離も、手術前より伸びて、無理して飛ばす必要もないと思っているから、楽に振れるし、楽に振るからまた、さらに飛距離が伸びる・・・今はすべてが好循環なんです」
そんな自身の体の変化をたとえ、「手術前は“杉原さん”の体、術後は“ジャンボ”の体、そして、今は30歳の僕。・・・これで、感じがわかってもらえる?(笑)」と倉本。
今年の全英オープンの週(7月19〜22日)には、心臓の、最終検査の予定が入っているが、「もし今週、勝っちゃたら・・・?! う〜ん・・・予定を立て直すしかないよねえ・・・」話す笑顔に、充実感が溢れた。