Tournament article
日本プロゴルフマッチプレー選手権プロミス杯 2001
ディーン・ウィルソン、チャンピオンへの道のり どんなにリードされても「Going my way」
面白いようにチャンスを決めて、ウィルソンに揺さぶりをかけてきた。
2ダウンを食らってハーフターン。
ウィルソンにプレッシャーがのしかかる。
だが、勝負は、半分が終ったばかりだ。ウィルソンは、懸命に自分に言い聞かせた。
「まだ、18ホール残っている。Going my wayでいこう」
ショットの調子は申し分なかった。自信もあった。これ以上、ショット練習の必要はない、と判断した。後半戦のスタートまで、約40分のインターバル。ウィルソンは、体を休めることを優先させた。ゆっくりと軽食を取り、あまった時間は練習グリーンで10球ほど、球を転がした。
「とにかく、こっちもバーディを取って、林さんにプレッシャーをかけ続けよう」
弱気になりかけた心を奮い立たせ、再び1番のティに立った。
その後半戦、1番のバーディでひとつ取り返したが、2番ですぐに取り返された。
「林も、僕にプレッシャーをかけてきている」と感じた。
林の圧力を感じるたびに、「今夜は、何を食う?」キャディのバッシーとの、取りとめのない会話で、やり過ごすことにつとめた。
「気楽にやる」「リラックスする」という気持ちを表す言葉を、故郷のハワイでは、『hang loose(ハングルーズ)』という。22ホール目の4番ホールから、1アップされたまま、ゲームは進んだが、「ゴルフとは関係ないことを考えたりして、ハングルーズに行こうと決めたんだ」チャンスをうかがい、とうとう28ホール目の10番で、バーディを奪ってマッチイーブン。14番で林のミスパットにつけこみ、逆転に成功した。
勝利を確信したのは、17番パー3で、林がバンカーからのアプローチに失敗したときだ。
バンカーを渡り歩く林を尻目に、バーディを奪って2アップ。18番ホールを残して、決着をつけた。
長かった36ホール、4日間にもピリオドを打ち、「ようやく、何者かに解放された気分だよ」と、心地よい疲労感と、勝利の余韻に、身をゆだねた。