Tournament article
全日空オープン 2001
「ゴルフ人生で、いまがいちばん」
順位ボードを見て、中嶋が吠える。
「なんだなんだ、46歳の俺が日本人トップだって? 若いのがしっかりしてくれないと困るじゃないか!」
充実感の裏返しだ。
「ゴルフ人生で、いまがいちばん」と言い切るほど、ショットが好調。
体調面も、火曜日に左股関節を痛めて、初日2日目は患部をかばいながらのラウンドだったが、専属トレーナー、石渡俊彦さんとの話し合いで、「対処法は心得ているんだ」と、たっぷりと時間をかけたストレッチやマッサージでほぼ回復。今週の、心配事も消え去った。
賞金ランク116位にまで落ち込んだ一昨年は、思うようなスィングが出来ず、「もう俺はだめかもしれない」と諦めかけたこともあった。
しかし、いまは、「トレーナー、コーチのおかげで、波はあるものの、ミスしても自分の中で修正がきくんだ」と、前日2日目は50%だったフェアウェーキープ率も、この日は、78.57%まで上昇。「ショットが、日々よくなっている証拠だろう」と胸を張った。
今年、たてた目標は「雑な球は1球も打たない」だ。
「雑な球は、1球でも打てばクセになる。どっかで、いいかげんな球を1発打つと、また、どこかで無駄な球を打つ・・・そういうものなんだ。それは絶対に避けなくちゃいけない。今年は、ずっとこの目標を守ってる。雑に打った球は、一球もないよ」
中嶋によると、「無駄な球を1発も打たないようにしようとして、そのとおりに出来る選手」は、いまの日本ツアーには、たった数人しかおらず、また、無駄な球を打たないよう集中するには、「奥深い、プロだけの方法がある」のだそうだ。
「その方法に気づくか気づかないで、全然違ってくるんだよ」
首位と6打差つけられて迎える最終日。
「目先のことだけに、捕らわれすぎないように」順位、スコアは追わないという。
だが、「心底では、もちろん、優勝を狙っていくんだけどね」と中嶋。
「自分のありのままで最善を尽くして、良いゴルフをして、チャンスを作って・・・その結果、上に届いたらいいね」
6年ぶりの“トミー”の栄光シーンを待ち望むのは、中嶋本人だけではないだろう。