Tournament article
ブリヂストンオープン 2001
「ビッグネームの2人を、退けたかった」
フロント9で一時、中嶋常幸に逆転を許した。
バック9では、師匠の尾崎将司が、1打差まで迫っていた。
しかし、伊沢に動揺はなかった。
「ビッグネームの2人が来ることは、予想できていた。今日はその2人を退けて、勝ちたかった」
王手をかけたのは、14番、463ヤードと距離のあるパー4。しかも、セカンド地点左にガケが待ち受ける最難関ホール。
「でもここで刻んでもバーディチャンスは来ない。ここ4年間はドライバーしか、握ったことはない」というティショットはフェアウェーど真ん中。
7番アイアンで振りぬいた残り160ヤードの第2打を、ピン左5メートルにピタリとつけた。
14番で、1メートルのパーパットをはずし、16番で、1メートル強のバーディパットが決められず、チャンスをモノにできない尾崎を、2打引き離す、バーディだ。
ジャンボ、中嶋の追撃にも、「1打1打、自分の思うとおり打てばいい」と、マイペースを失わなかった。
クライマックスの18番パー5でも、その信念を貫いた。
ひとつ前の組でプレーする尾崎が、そのホールをバーディで、1打差としたことさえもお構いなしに、残り250ヤードの第2打で迷わず選んだのは3ウッド。
「アゲンストの風が吹いていたけど、ティショットの時点で2オンのための距離はクリアできていたから」と、グリーン手前の池も悠々と超えて、手前のエッジまで運んできた。
今季4個目のウィニングパットはOK距離のパーパット。落ち着き払ってこれを沈め、「自分でもなんだか信じられない・・・。でも、今、僕のゴルフの調子がいいことには、間違いはありません」と、納得顔の優勝スピーチ。
これで、獲得賞金も2位以下に3600万円強の差をつける1億2000万円(海外獲得賞金含まず)。念頭から目標にしてきたという賞金王にさらに一歩、近づいた。
同時に、「ビッグネームの2人にも、ちょっとは近づくことができたでしょうか(笑)」言い方こそおどけていたが、その手ごたえをしっかりと、感じているふうだった。