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サン・クロレラ クラシック 2001

「明日は、何も考えない!」

井田安則が大爆発、64をマークしてコースレコードを更新

 前日2日目の朝は、予選落ちを警戒し、荷物をまとめて会場入り。すっかり帰るつもりで、その日の伊丹行きの空港券も押さえていた。
 そんな選手が、翌日には、2位タイまでのしあがってきた。
 怒涛の30人抜きに、「ほんま、ゴルフってわからんもんですねえ」と、井田は、苦笑いで首をかしげた。

 2日目までと、条件は違っていた。
 スタート時は、ほとんど無風。
 ボギーを打った4番あたりから、徐々に強く吹きはじめたが、「それも昨日までと、まったく逆の風でしたから。距離の長いホールが、アゲンストからフォローになったりで、楽な感じもしましたね」

 それでも、10バーディ(2ボギー)の64はダントツだ。
 コースレコードを、一挙に5打も塗り替えて、「この難コンディションの中、信じられない…」と口々に、仲間から羨望のまなざしを受けた。

 ずっと不調だったパッティングが、8番では8メートル、10番で10メートルを決めるなど、この日は良く入ったが、「昨日までと、何を変えたわけでもない」という。
 「どんなに入らないときも、悩まないことにしているから。しいていえば、入らなくなったら、心構えを変えるだけ。プラス志向で、“当然、入れる”と思う。それだけですよ」
 そう言ってノホホンと笑うが、実のところ井田は「少年時代から、ものすごく考えこむタイプ」だったそうだ。
 野球をやっていたころも、「ヒットが打たれへんようになると、なんでかなあって、一晩中、考えたりして眠れなかったりね(笑)」

 そんな井田が、考え込むことをやめたのは、ツアーでの本格参戦が始まった5年前。
 ショットやパットに悩み、ノイローゼになった選手のエピソードなどを聞いたりするうちに「考えすぎで、病気になるなんて嫌やなあ・・・」と痛感したのだ。

 「それにね、考えすぎたら余計に入らんようになるもんです。だから、たとえいまは入らなくても“いずれ入る”と思うようにする。思ったとおりのところに打って、それで入ったらいいし、入らなかったら“まあ、しょうがないか”と軽く考え、入るまで待つ。これが、僕がずっと続けてきたことだったんです」

 その禁を破ったのが昨シーズンだった。「テイクバックで外に上げようか、インサイドに上げようか…」昔のくせで、悩みに悩んでしまったのがシード落ちの「大きな原因」だった。
 「昨年は、やってはいけないことをやってしまったから…」と悔やむ井田。
 「だから明日も考えない。だってもう一度、シードを取り戻したいですからね」
 無欲で挑む、最終日最終組だ。

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