Tournament article
サトウ食品NST新潟オープンゴルフ選手権競技 2002
「まともにやりあってもダメ、自分のゴルフを」
5アンダー3位タイからスタートしたこの日2日目は、前夜、電話で話した片山晋呉の言葉を胸に、プレーを続けた。
「何があっても、途中で、順位ボードは見るなよ」
初めての上位争い。
自分に余計な、プレッシャーをかけないように、との配慮だった。
「言うとおりにしてよかった。上位にいることがわかっても緊張するし、逆に落っこちてても、いちいちガックリきて自分のペースを守れなくなってたと思うから」と、先輩の忠告に感謝した。
3年前から、ツアーメンバーの江連忠に師事。師匠が同じこともあり、片山晋呉との親交も深まって、昨年は、合宿に参加する機会にも恵まれた。
そこで教わった足腰、股関節などスイングに必要な筋力を鍛えるトレーニング法は、試合期間中にも実践。めきめきと成果をあげて、飛距離も、以前より約30ヤードは伸びているという。
普段の、何気ない会話からも、学ぶことは多い。
この日の横山の座右の銘、「焦るな。じっと待っていれば、必ずチャンスは来る」も、片山の教えだ。
ずっと、ノーボギーで来た最終18番で、横山は、初めて自分の順位を確認した。
そこで、思いがけず、上位に踏みとどまっていることを知って大いに発奮。
「絶対にもうひとつ取る!」
気合いを入れなおし、ピン奥3メートルをねじ込んで通算10アンダー2位タイに、声が弾んだ。
「もしかしたら、初めてオヤジが応援に来てくれるかもしれない…!」
横山を、ゴルフの道へいざなってくれたインストラクターの父・誠さんは、学生時代は、“空手”のチャンピオン。
頂点を極めた経験をもつだけに、勝負事にはとても厳しく、「優勝にも絡まないようなゴルフなんて、見たくない」と、まだ、一度も、会場に来たことがない。
「でも、さすがにこの位置なら…」と、ひそかに、期待を寄せているが…。
細川、宮本ら、シード選手に挟まれて挑む初めての優勝争いは、「まともにやりあっても、きっとダメ。とにかく、自分のゴルフに撤すること」。プロ転向5年目にして、ようやく、父に成長の跡を示すチャンスが、巡ってきた。