Tournament article
三井住友VISA太平洋マスターズ 2002
「プロ初優勝は、僕が先にやっときたい」
前日初日の強風下で、「どうしても、すぐに顔をあげて球筋を見たくなり」、無意識に速くなっていたスイングのテンポ。
この日2日目は、父・優さんに指摘され、「意識して遅くするより、もうひとつ遅く。遅すぎるっていうくらい、ゆっくりと振る」ように改善すると、たちまちショットが冴えて、急浮上。
小技も冴え、前半の18番パー5では、昨年のワールドカップ最終日の再現か、というスーパーアプローチも披露した。
グリーン右横にこぼれた第3打は、昨年、タイガーが劇的イーグルを放ったのとほぼ同じ位置だ。
「あのイメージで、PSで2クッション入れて…と思って打ったら、一瞬、入ったか、と(笑顔)。OK距離に寄せて、あれは良いアプローチでした」と、振り返った。
7バーディノーボギーの65は、この日のベストスコア。
ここ御殿場のコースレコード63は、弟の優作君が保持しているが、「途中、(あいつを抜けるかも)と、意識はしましたけどね」と、おどけて言った。
今週、その優作君も出場している。
兄弟揃うのは、今季5度目。
昨年は弟に「1勝6敗」しているが、今年は今のところ「3勝2敗と、優勢なんです」と、わざと得意げに笑ったが、実際は、弟の活躍に「刺激を受ける」ことはあっても、今はまだ、ライバル心を燃やすまではいかないという。
「あくまでも、優作は“弟”で、あいつの活躍は兄として、素直に嬉しいんですよ」。
しかし東北福祉大卒業予定の来年、優作君がツアー転向の意志を示し、兄弟が、同じ舞台に立つことになる。
「そうなれば、僕ももっと前向きになれるし、もっと上のレベルも目指せるから」と、兄は弟のデビューを待ち望みつつ、
「…でも、ツアー初優勝は、兄弟で僕が、一番先にいっときたいかな…(笑)」
トップアマの弟を持つがゆえの、兄の複雑な胸のうちを、垣間みせていた。
※弟・優作は、1アンダー33位タイ「今日は兄の日!(笑)。僕が一昨年前出したコースレコードは、たまたまゾーンに入って出ただけのもの。
でも今日の兄のスコアは、1打1打、伸ばそうと思いながらやって出した65だから、僕のとは、まったく価値が違うと思うんです。…僕が、兄のように、意図的に伸ばそうと意識してゴルフをしたら、球が散らばってたちまち崩れてしまうと思う(笑)。そういう意味でも、今日の兄のゴルフは、素晴らしかったですね」