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三井住友VISA太平洋マスターズ 2002
「“俺って天才”(笑)再確認」
今週、風邪を引いてしまった。
前日初日は、御殿場の気温がグっと冷え込んだため、かなりつらいラウンドとなったが、3アンダー4位タイフィニッシュ。
そしてこの日は、6バーディノーボギー、66で回って単独2位浮上だ。
「不注意だね。熱はないけど喉が痛いし、鼻づまり。特に背中が痛くて、夜も熟睡できてない。コンディション的には非常につらい状態なんだけど、だからこそ気負わず、一生懸命やっているのがいいのかなあ・・・」と、本人は話したが、コース上では、そんな素振りは微塵もない。
どんなシーンでもモチベーションを高く保ち、ゲームに集中しきっている中嶋がいた。
440ヤードの8番パー4。
ティショットを、ドライバーで左ラフに打ち込んだ。
第2打地点の、20ヤード先に林。
林を越えて、その先のグリーンを捉えるには、あまりにも木は高い…。
と、そのとき前方の木と木の間に、わずか6メートルの隙間を見つけた。
「横に無難に出すより、そこをフックボールで抜けていくのが、ベストチョイスだ、と思えた」(中嶋)。
迷わず打った球は、狙いどおり林を抜け、手前のラフで3クッションして、グリーン右端にパーオン成功。
「そこで、“俺は天才だ”ってこと、再確認した。…なんてね(笑)」
風邪も吹き飛ぶ、スーパーショットだった。
今大会は、中嶋にとって、「ツアーの中でも1番好きな大会のひとつ」という。
戦略意欲をかき立てるコースレイアウトに、見渡す富士の山。
そこに、美しく紅葉した木々が、彩りを添える。
「僕的には食事が、すごくおいしいところもお気に入りだし」(中嶋)、なんといっても、世界のトッププレーヤーたちが集結する舞台に、48歳の闘志が増すのだ。
「バデリー、ハウェル、ローズ、ケーシー…。世界で活躍する20歳台の若者と、一緒に戦えるなんて最高じゃない?」
しかし年齢がいくつでも、国がどこでも、「力がある人間が勝つ」と言い切った中嶋。
「最高の舞台」での今季2勝目で、完全復帰をアピールする。