Tournament article
サトウ食品NST新潟オープンゴルフ選手権競技 2003
『最終日には金メダルを取りたい』3位の加瀬秀樹
手にしている48.5インチの長尺パターは、今年5月から使っているものだ。
「開幕からあまりにも入らなすぎて」悩んでいたとき、たまたま一緒にラウンドした 兼本貴司のそれを借りて振ってみたところ、「ひらめくものがあった」(加瀬)。
それまでも次々とパターを変え、グリップをクロスハンドにしたり復調にむけ試行錯 誤を続けてきたのだが、長尺だけは選択肢にはなかった。「それが、兼本に打ち方と か教わるうちに、ね(苦笑)。これもありなのかな、と・・・」。ゴルフ人生、初の試 み。変則スタイルは見た目にもスマートとはいえず、敬遠する選手も多いが「僕は、 そんなこといってられない状況だったからね」以来、その“長い杖”の攻略に明け暮 れる毎日なのだ。
道具が変れば当然、打ち方も変る。フィーリングの違いに戸惑う日々が続き、今で も、完全に手の内に入れた、という実感はないが、「今日は、比較的思うようにやれ たかな」16番の4メートルのややスライスのバーディパットは、自分でも納得のいく ストロークができた気がしている。
96年から7年、勝ち星に見放されている。90年の日本プロでの初優勝で、公式戦も制 した経験をもつ男がいま、懸命にもがきつづけている。
「今までと同じことをやっていたら俺のこれからは厳しい、と思った。なんでもい い、自分のゴルフに変化を与えたかった」そう思いあぐねていた最中に、長尺パター と出会ったのだ。「いまは、これをなんとか自分のものにするのに精一杯」と話す加 瀬。
今年は、開幕から6戦連続で予選落ちするなど、低迷が続いている。「やらなくちゃ いけないことはたくさんあるけれども、その中でいけるときにいっとかないと、とい う思いもある。残り2日は“攻める気持ち”を忘れずに、どんどんどんどんチャージ をかけて、・・・最終日には金メダル、取りたいねえ(笑)」自らの身を、世界水泳の 北島康介選手になぞらえて、気合いを入れていた。