Tournament article

日本オープンゴルフ選手権競技 2003

第68回日本オープンゴルフ選手権競技 1日目 96年、ここ日光カンツリー倶楽部で開催の日本アマチャンピオン・星野英正が首位発進

心持ち、顔を青くして、肩で息をしながらホールアウトしてきた星野は開口一番、 「最悪ですよ・・・」。
先週、ひいた風邪が今週に入ってから日に日にひどくなり、高い熱も出てきた。前日 の練習日はとうとう地元の病院にかけこんで注射を打ってもらったが効果はなく、こ の日初日の朝は、あまりのだるさにすぐに起き上がることさえできなかった。

「こんなに体調悪いのは久々です・・・」と話す声も、かすれていた。

本当なら、とっくに欠場を申し出ている状態だ。それでも、重い体をひきずってコー スに運んだのは、この日本オープンが、年頭から照準を合わせてきた大会だからだ。
しかも今年の舞台、日光カンツリー倶楽部は思い出のコースだ。星野が東北福祉大1 年のとき(1996年)、ここで開催された日本アマ(当時はパー72)で史上最少スコア の通算9アンダー、2位と15打差という大記録を打ち立て大会初優勝を果たしている。

プロとして今年、1勝を果たして再び帰ってきたこの大舞台。今週は、この4年間の成 長のあとを示す、絶好のチャンスなのだ。

体はふらふら。めまいさえ覚えながら立った1番ティグラウンド。陽が当たれば汗ば むほどの陽気にも、寒気でセーターは脱げなかった。熱のせいで、ショットにも力が 入らない。飛距離も普段より20ヤードくらい落ちて意識は朦朧・・・。

それほどの体調不良も、当時のイメージが救ってくれた。

「深いラフ。硬くて速いグリーン。日本アマでやったときには、今よりもっと、コー スが難しかった。今回のほうが、ずっとセッティングが楽ですね」。5アンダーと、 初日からスコアを伸ばせた要因だった。
この日もホールアウト後は、練習もそこそこに病院に駆け込んだが、翌日2日目以降 も体調が良くなりそうな気配はない。「でも絶対に、試合を途中でやめる気はないです よ」。勝てば、5年シードのビッグタイトル。体調不良ももろともせず、ここ日光で2 度目の栄冠を手に入れるつもりだ。

関連記事