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ABC チャンピオンシップゴルフトーナメント 2003
ABCチャンピオンシップゴルフトーナメント2日目地元関西出身の平塚哲二がコースレコード新をマークして通算12アンダー単独トップ
今季、これまで24試合フル参戦でトップ10入り12回、うちトップ5入り8回で賞金ラン クは3位。数字の上では、絶好調を維持しながらも、実は本人の口からは、こんな大 阪弁が出ることが多かった。 「ほんま、ボロボロですわ・・・。なのになんでこんな良いスコアが出るんやろう ?」。そうつぶやいたあと、きまって人の良い笑顔を浮かべ、おどけたしぐさで首を ひねるのだった。
たとえ成績が良くても、思い通りのスウィングが出来ていなければ納得できない。連 戦で疲れた体をひきずり、練習場に足を運ぶ。結果におごることなく、球を打ち込ん だ。
そんな日々の努力が、この日のゴルフに生かされた。
インスタートの11番で、6メートルのパーパットを沈めたのがきっかけだった。波に 乗って、続く12番で、10メートルのバーディパットを入れた。13番で1メートル、14 番で2メートル、15番で3メートル。前半の5連続バーディの締めくくりは、16番パー3 の20メートルの下りスライスライン。これをねじこみ、イン30でハーフターンだ。
後半も勢いは止まらず、ラスト9番では「記録を意識して打った」という4メートルの 下りスライスを、ど真ん中から決めた。ボギーなしの9バーディの63でここABCゴ ルフ倶楽部のコースレコード更新に、「平塚は、今日はほんとノーミスだったな ・・・」と同じ組でまわったジャンボ尾崎も思わず、舌を巻いた。
「自分でもびっくりですよ!」と本人も目を丸くしたものの、この日の好スコアの根 拠はあった。
3週前から上り調子のショットは、いまではほとんど不安がない状態だ。「あとはこ れをどうプレーに結びつけるか、というところだった」というほど、今週、スコアと スウィングのバランスが、ようやくつりあうようになったきっかけは、練習ラウンド で使った小道具だ。約2×1センチほどの小さなメトロノーム。これを1分間に80回 のリズムに設定し、サンバイザーにつけてプレーする。ショット時は耳をすませ、1 回目の“ピッ”という音でスウィングを始動。さらに2回目の“ピッ”で、ダウンス ウィングへの切り返し、そして3回目の“ピッ”というタイミングでフィニッシュを 取る。
これは、今年の春先からずっと試してきた方法だった。不安が出てくると練習時に バッグから取り出して、このリズムを確認した。今週の練習ラウンドでも、この秘密 兵器の力を借りた。
本戦ではそのときの感覚を大事に「アドレスではもう何も考えず、リズム良く振って いけば、正しいスウィングができている、と思い込んでやった」。この日のフェア ウェーキープ率4位の安定したショットで、通算12アンダーの単独トップに立った。
今年、もう何度、めぐってきたか数え切れないくらい経験してきた初優勝のチャン ス。念願がかなったら、今年年末に行われる米ツアーのQスクールに挑戦する、と決 めている