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アコムインターナショナル 2003

プレーオフ1ホール目にティショットを右に曲げて自滅、2位タイ

プレーオフ1ホール目、第1打を右林に打ち込んでリカバリーショットを打つ宮本
プレーオフが決まったとき、倉本が、宮本に冗談まじりに言った。
「女子は藍ちゃんが勝ったから、明日を考えたら、おまえが勝ったらダメだぞ〜」。
そのころ、今週開催の女子ツアー『ミヤギテレビ杯』の結果がすでに出ていた。男子 ツアーの会場にも、そのビッグニュースはかけめぐった。シード2年目の宮里聖志と スーパールーキー・宮里優作の妹、藍さんが最終ホールでバーディを奪って勝った。
アマチュアのツアーVは、30年ぶり史上2人目の快挙。しかも最年少での優勝だ。翌 日月曜日の新聞やテレビで、大きく取り上げられるのは間違いなかった。

この女子ツアーの話題性に対抗するには、すでに今年8月のサトウ食品NST新潟オープ ンで今季初優勝をあげている宮本が勝つよりも、最年長優勝記録の更新がかかった ジャンボか、8年ぶり復活の倉本が優勝を飾ったほうが、確かにインパクトはあるか もしれない。
「・・・だからちゃんと、倉本さんの言うことを素直に聞いておきましたよ(笑)・ ・・な んてね冗談、冗談ですよ!鼻先にニンジンぶらさげて必死で頑張ったけど、今週、僕 はショットが曲がりまくっていましたからね・・・」。

その時点で通算13アンダー、8打差の14位タイから2位タイまで急浮上して最終組より 4つ前でホールアウトしてきた宮本は、プレーオフを想定して、すぐに練習場に足を 運んだ。
ショットが右にばかり曲がり、本戦では「とにかくショットをフェアウェーに置い て、グリーンのまん中狙いの作戦」で急場をしのいできたものの、サドンデスのプ レーオフとなると、そんな消極的なプレーでは勝てない。ジャンボ、倉本があがって くるまでの短い時間を割いて、調整にいそしんだのだった。
「それでかなり良くなった、と思っていたんですけどね…」。プレーオフ1ホール 目。やはりその懸念が出てしまった。くじ引きで、1番先に打った宮本のティショットは案の定、右の林へ。第2打はフェア ウェーしか出すしかなく、はからずも日大の大先輩が投げかけた“牽制球”をまとも に受けたかっこうになってしまった。
宮本がデビューした97年には、すでにスランプの迷路にはまりこんでいたとはいえ、 倉本は、宮本が幼いころから憧れてきた選手のひとり。プレーオフの間は、互いに 「いちプレーヤー」として全力でぶつかったが、いざ倉本の復活優勝の瞬間を目前に したときは、「感動して、いちファンになっちゃいましたよ・・・」。

ボギーでの敗退は、悔しいには違いないが、48歳の優勝シーンに大いに刺激を受けた 宮本。「・・・それにくらべて僕には何か、・・・何かが足りない。それが何なのか を、こ れから頑張って探したいと思います」この負けを反省に、これからシーズン終盤にむ け気合を入れなおしていた。

自滅は悔しいけれど、以前ジャンボさんに『俺も優勝の数と同じくらい、2位 にもなっている』と聞いたことがあります。この経験を無駄にしないようにしたい」

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