Tournament article
JCBクラシック仙台 2004
プレーオフに敗れ2位タイの中嶋常幸は、新しいチャンピオンを賞賛
プレーオフに敗れ2位タイの中嶋常幸は、新しいチャンピオンを賞賛
中嶋の鬼門は、18番だった。「なんか、いつもティショットが立ちにくいんだ」。前日3日目は左のカート道。そして首位と1打差で迎えたこの日最終日の18番も、左のラフだった。
それでも、ピン奥8メートルにつけて「奇跡的な」(中嶋)バーディを奪い、神山、近藤とのプレーオフにのぞんだが、その使用ホールは、やはり18番。
今週、5度目の18番でのティショットはまたもや、左のラフに沈んだ。
難しいライから、みごとピンの右7メートルに乗せたものの、「それが精一杯だった・・・」2度目の奇跡を、呼び込むことができなかった。
悔しさはもちろんあるが、今回の敗退には喜びの気持ちもある。初優勝をあげた神山のことは、デビュー当時から注目していた。
「よく飛ばすし、全体的にそつがない。オールラウンドプレーヤー」。
その素質を買ってまだ出場権を持たなかったころの神山を、自身が主催していたミニツアーに参加させたり、何かと目をかけてきた選手だった。
それから8年のときを経て、2人初めての同組ラウンドは、プレーオフで対決という願ってもないシチュエーション。大きく成長した神山の姿に中嶋は、父親のように目を細めた。
「本戦の18番で3パットしながらも、ネガティブにならずよく吹っ切った。プレーオフで奪った彼のバーディパットを、素直に賞賛したいよ!」。
この優勝争いは神山にとって、またひとつ大きな経験として生かされていくだろう。しかも、中嶋自身も好プレーでその神山にプレッシャーをかけ、一役買うことができたのだ。
「俺の与えた試練に打ち克ってくれたことが、とにかく嬉しいんだ。・・・俺もまだまだ。気持ちだけは35歳のつもりで、頑張るぞ!」。骨のある若手選手たちが確実に育っていることがまた、自身のゴルフへの励みにもつながっていく。