Tournament article
コカ・コーラ東海クラシック 2004
今井克宗「こんなの、俺にはいつものこと」9番のチップインバーディで悪い流れを断ち切った
「細川さんが、まぐろのトロなら俺はツナ」。
下手な策略など通用しない。「とにかく、全力でぶつかるしかない」。
無我夢中で戦った。
しかし、それにしても気合を入れすぎたせいだろうか。
この日はどういうわけか、いつもよりアイアンショットが飛びすぎていた。
2番パー5は、残り100ヤードの打ち上げの第2打が15ヤードもキャリーオーバー。なんとかコントロールしようとするが、うまくいかない。
度重なるピンチを救ってくれたのが、得意のアプローチだ。
「俺はこれまで、サンドウェッジで稼いできた男なんです」と、笑う。
本人いわく、普段のラウンドでも「18ホール中、15ホールはグリーンを外す」。当然、試合でアプローチを打つ回数が多くなる。
はからずも、他人より実践を多く積んできたことで、どんなピンチにも「ビビることがなくなった」という。
9番では、残り140ヤードの第2打が25ヤードもオーバーしてグリーン奥。いっせいに球をよけて散らばったギャラリーの姿を確認して、サンドウェッジを抜いた。
「こんなの、俺にはいつものこと」。
落ち着き払って打ったアプローチは、小さくバウンドしてカップに吸い込まれていった。
ピンチが一転、勝利への序章に。
「あれが大きかった。悪い流れをストップすることができた」と、振り返る。