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フジサンケイクラシック 2004

ポール・シーハン、最愛の家族にささげる日本ツアー初優勝

2打差の単独首位からスタートした最終日は、悪天候の中、最後まで堂々とした戦い ぶりだった。
1番で、奥から1メートルの難しい下りフックラインを沈めると、続く2番で10メート ルのバーディチャ ンスを決めて、序盤であっという間に差を広げた。
ティショットのミスで、パーオンに失敗した4番パー5では、グリーン手前から10メー トルのアプローチ をチップインバーディ。
11番パー3ではあわやホールインワンのOKバーディで、ボギーなしの通算17アン ダー。そのまま余裕で 逃げ切った。
雨降りしきる川奈の最終18番グリーン、残ったのは、わずか10センチのウィニング パットだった。ほかの選手のホールアウトを待っている間、背後から愛しい声が聞こ えてきた。
「ウ〜、ア〜!!」。
長女・ビリーちゃんだった。妻ジャッキーさんの腕の中で、パパを見つけてはしゃい でいた。厳しいプ ロゴルファーの顔から一転、振り返ったシーハンの相好は、たちまちに崩れていた。
「オォ〜! ビリー!」
まだプレー中のほかの選手を気遣って、口に指をあて一応は、「シ〜っ!!」と制し てみせたものの、 その表情はすっかりデレデレ。
豪州出身のシーハンは現在、ホテルからホテルの旅暮らしだ。まだ10ヶ月のビリー ちゃんを連れての転 戦生活がジャッキーさんに負担をかけていることは承知の上。しかし、シーハンに とって家族の存在こ そがパワーの源。3週前から日本に呼び寄せ、ともに戦っている。
「彼女たちが、僕をその気にさせてくれるんだ」。
優勝の瞬間、まっさきに駆け寄って、2人の耳元にささやいた。
「ジャッキー、アイラブユー。アイラブユー、ビリー!!」。最愛の家族にささげる、 日本ツアー初優勝 。「最高にファンタスティックだね!」

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