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フジサンケイクラシック 2004

芹澤につづくこの日2人目のコース新63をマーク、岩本高志

6アンダーで迎えた512ヤードの16番パー4は、左サイドに断崖絶壁の海が続く。いま、フック一辺倒の 球筋から、フェード球へスイング改造中の岩本にとっては恐怖のホールだ。本大会の本戦出場をかけた月曜日のマンデートーナメントでも、ここで左を怖がるあまりに逃げて、ティショットを右に打ち込んでいたことを思い出して、岩本は決心する。

「海に入れてもいい!!思い切って、左に向かって打って行く」勇気を持って打ったティショットは豪 快にフェアウェーど真ん中。そこから、4アイアンで打った残り200ヤードの第2打は、ピン左横3メート ルに2オン成功。これを沈めてイーグルは、すでにホールアウトしていた首位の芹澤信雄に並ぶ8アンダ ー。
続く最難関の17番パー3こそ「意識して」ボギーとしたが、ラスト18番で奥3メートルを決めて、再びト ップタイに返り咲くバーディフィニッシュ。芹澤に続く、この日2人目のコース新63 をマークして、「 もう、今日はとにかく無我夢中でした・・・」と、ホっと肩で息をついた。
昨年は、ファイナルQTランク44位の出場資格を持ちながら、腰痛の悪化で、シーズンをほとんど棒に振 った。チャンスを生かせず賞金ランクは157位。夢の初シード入りなどほど遠く、「ゴルフなんてつまんない」そう思って落ち込んだ時期もあった。
それでも、普段のストレッチ、トレーニング量などを増やして戦える体を取り戻し、いちからのスター トとなった今季。積極的にスイング改造に取り組むなど自分なりに目的を持つことでやる気を取り戻し た。
今大会は思い出のトーナメントだ。高校3年のとき、本戦への出場権がかかった92年の「ジャンボ尾崎 杯フジサンケイジュニア選手権」を制して、翌93年にこの大会でプロのトーナメントに初挑戦。「ぼろぼろに打って最下位で予選落ちした」ものの、あのころは、とにかくゴルフが楽しくて楽しくて 、仕方がなかった思い出は、今でもくっきりと覚えている。「いまはあのころとは違うゴルフの面白さ。つらい時期を乗り越えて、ここにいる充実感がある」。
出場権のなかった今大会は、マンデートーナメントを突破しての挑戦。実は79年の今大会のチャンピオ ン・佐藤昌一も、マンデートーナメントから勝ち上がってきた選手だった。
仲間からは「お前も、それを狙え」とはっぱをかけられている。
「まさか、とんでもない。僕なんか」と謙遜したが、精神的にたくましさを増したいまなら、その快挙 を狙ってもいいころだ。

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