Tournament article
ANAオープンゴルフトーナメント 2005
すし石垣がコースレコードタイの62をマーク
「コースレコード、出してくれよ!!」
「任せといてっ」
すかさず答えてコースへと駆け出して行ったが、言われるまでは自覚がなかった。
インスタートの10番から怒涛の5連続バーディを奪ったが、「やってる本人は意外とスコアが分かっていないもの」。
18番パー4で、チップインイーグルを奪った。ピッチングサンドで打った残り104ヤードの第2打が、バックスピンでカップイン。
29でターンして、にわかに増え始めたギャラリーとその声援でようやく我に返って、がぜん記録を意識した。
残り9ホールの目標は、大会2日目に深堀圭一郎が、23年ぶりに塗り替えたばかりのコースレコード62を超えること。
途中、用を足したとき実現できそうな吉兆も見つけた。
そういえば、この日最終日に見につけていた下着は真っ赤なブリーフ。
この週、実はうっかりして下着を1枚しか持ってきていなかった。
日ごとに裏返して穿いたり、知人の洗濯機を借りるなど苦心していたが、ついに間に合わなくなって前日3日目に買い求めたのが赤の下着だった。
トイレでその色を見るなり、「よ〜し!行けるぞ!」。
たちまち勢いづいて5番、7番でバーディ。あっという間に深堀の記録に並んだ。
最終9番パー5は、さすがにしびれた。
このホールでそれまで3日間、右に曲げていたティショット。
意識しすぎて、逆に左のラフに打ち込んだ。
刻むしかなく、いよいよ記録がかかったバーディパットは手前10メートル。
「これ入れてぇ〜」と、涎も垂らさんばかりに打ったパットは奥に2メートルもオーバーさせたが、下りスライスをしのいでコースレコードタイを守った。
大会2日目には64を出して、自己ベストスコアをマークしたばかり。
その2日後の最終日にはさらに2打も更新した。
この週は、ノリに乗っていたすし。
深堀と2人で札幌ゴルフ倶楽部提供のコースレコード賞30万円を分け合って、輪厚の歴史にそのユニークな選手名を刻んだ。