Tournament article
ザ・ゴルフトーナメントin御前崎 2006
堀之内豊「失うものは、何もない!」
ずっとショットが振り切れていなかったし、振り切れていないことに自分でも気がついていなかった。
「無意識に、ボールに合わせて打っていた」。
そのせいで「飛ばない上に、曲がる」。
ショットに精彩を欠き、開幕から低迷が続いていた。
復調のきっかけは、先週のセガサミーカップだった。
キャディをつとめてくれた武藤祐貴さんは、地元・北海道出身のプロゴルファー。
コーチの鶴見功樹さんを介して知り合った弟子仲間が、何気なくいったこの一言。
「豊さん、ショットがぜんぜん振れてないッスよ」。
シード権の保持を意識しすぎて、気持ちが萎縮していた。
それが、プレーに影響を与えていたのだと気がついた。
「たかが、シード1年目。僕に失うものなんか何もないのに。何をビビってたんだろうなって・・・」。
結果を恐れず、ただ無心に振り抜くことだけ意識するようにしたら、正確なショットでフェアウェーをキープして、得意のアプローチ、パットでチャンスを掴む。
途端に、本来の持ち味が蘇ってきた。
圧巻は、この日初日の最終18番だった。
ピンの根元が見えない打ち上げのパー4で、残り110ヤードの第2打を9番アイアンで手前2メートル。
右手前のエッジから、ピンまで5メートルもない狭いエリアにピタリとつけた。
ピンチらしいピンチもなく、ボギーなしの5アンダーと好スタートを切った。
「明日も思い切って打つ! ・・・今年ずっと悪かったですからね。気合入ってますよぉ〜!」。
久しぶりに、温和な笑顔が戻ってきた。