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三井住友VISA太平洋マスターズ 2006

中嶋常幸「いくつになっても、いちばん新しい優勝がいちばん嬉しい」

三井住友VISAカードのイメージキャラクター・中山エミリさんと、月原紘一・三井住友カード㈱代表取締役社長と・・・
若手にも負けない飛距離さえあれば、あとは何といっても経験の差がモノをいう。
「日曜日は冬型の気圧配置」。
天気予報を聞くだけで、最終日のゲーム展開が手に取るように読めた。
今大会過去2勝(85年、2002年)の貫禄。
御殿場は、知り尽くしている。

「明日は風が吹く。それも、上位がスコアを崩すには十分の強い風が。その中で、どんなゴルフが必要か・・・。たとえ、6打差でもチャンスはある」。

サスペンデッドとなった前日3日目は、日没と深い霧。
ほとんど視界不良の中、難関の17番パー3(228ヤード)をパーでしのげたことで「自分に期待するものがあった」という。

そして、「あえて自慢をさせてもらえるならば・・・」と前置きして切り出した。
今年の日本シニアオープンと日本プロシニア。
“日本”と名のつくタイトルをまた2つ勝ち星に加え、公式戦をほとんど総なめにしたプライドも、現役を張れる原動力。

この日は「緊張するから」と、ほとんどスコアボードを見なかった。
それでも百戦錬磨の中嶋には、ボギーなしで迎えた最終18番で、何が必要かは見当がついた。
「後ろの谷口は勝負強い。井上は飛ばし屋。2人とも少なくとも、バーディは取ってくるだろう」。

残り110ヤードの第3打を、ピッチングウェッジでピンまで2メートル。
バーディチャンスは、下りスライス。

「息の詰まりそうなこのパット、呼吸も止まってしまいそうなこの緊張感。いちばん新しい優勝が、やっぱりいちばん嬉しいから。また新しい場面を味わいたいから努力する。今も、この世界で生きていこうと思う・・・」。

ど真ん中から沈めて、勝利を確信。
後ろの組の谷口と井上が、18番で立て続けに第2打を池に入れた。
読みどおり、この日7つ目のバーディが、6打差大逆転のウィニングパットになった。

「いつまでも、若手の手本になるプレーがしたい。60歳になっても300ヤード飛ばしたい」という中嶋。
この週は、ガルシアに勝つことが目標だった。
世界ランク9位の26歳を、力と技と経験で凌駕した。

次週のダンロップフェニックス。
同ランク1位のタイガー・ウッズがやってくる。
「・・・こんな52歳もいるんだってこと、タイガーにも見せてやりたい」と、言って微笑んだ。
4年前と同じ、真紅のウィナーズジャケットは52歳の笑顔にもしっくりと、馴染んでいた。

<中嶋常幸の“日本タイトル”>
72年・全日本パブリック
73年・日本アマ
77年・日本プロ
82年・日本シリーズ
83年・日本プロマッチ、日本プロ
84年・日本プロ
85年・日本オープン
86年・日本プロマッチ、日本オープン
90年・日本オープン
91年・日本オープン
92年・日本プロマッチ
93年・日本シリーズ
05年・日本シニアオープン
06年・日本プロシニア、日本シニアオープン
※そのほか合計ツアー48勝
  • 4年前と同じ真紅のウィナーズジャケットは52歳の笑顔にも映えて
  • ファンから暖かい祝福を受けて・・・

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