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日本プロゴルフ選手権大会 2006
中田範彦「早く練習場に行きたい」
中田のように、ツアーのシード権を持たない選手は独自の予選会から勝ち上がるしかない。
これまで何度もこの予選会に挑戦してきたが「いつもダメで・・・」。
今年、36位に入ってやっとつかんだ初の出場権だった。
2006年のプロ日本一を決める伝統の一戦。
午後スタートの中田がティオフしたころにはまだ、7アンダーの首位に尾崎直道がいた。
が、途中で名前が消えて、後半16番のバーディで自らが単独首位に。
しかし大舞台での好発進にも、中田に気負いはまったくなかった。
目の前の1打に夢中だったからだ。
昨年、日体大時代の先輩に言われた。
「お前はショットは良いんだから。あまり感情を表に出さず、やることをやってから結果を見ようよ」。
パットがウィークポイントだった。
結果を気にするあまり、打った瞬間にすぐボールの行方を見てしまう。
「それですぐに『あぁ〜!!』とか。すぐに声が出てしまって。先輩のアドバイスで、今は打ってから球を見るようにしている。喜怒哀楽を出さず、それで入らなかったらしょうがないと。そうしたら、ショートパットも平均的に上がってきた」という。
この日も、安定したショットと好調のパッティングでスコアを積み重ねた。
10番で、残り225ヤードの第2打を右下3メートルにつけてイーグルを奪うと、「一番すごかった」(中田)のが最終ホールだ。
480ヤードと距離の長い18番パー4で、左上7メートルの下りスライスをねじこんだ。
ギャラリーやボランティアのみなさんから好スコアの祝福を受けて「たまたまっス!」と、謙遜しつつ、飄々とホールアウトしてきた中田。
もちろん、ビッグタイトルへの憧れはある。
「でも今は、どの大会がすごいとか言ってる場合じゃない。これまで試合に出られなかった僕にとっては、全部がすごい試合。そこに毎試合出続けることが大事で、その中でうまくなりたい、レベルアップしていきたい。今はその気持ちでいっぱいなんです」。
リーダーのインタビューを受けながら、ソワソワし始めた。
「自分としては調子が良かったわけじゃない。・・・早く、練習場に行きたいです」。
その声を合図に、この日最後の会見は終了した。
中田範彦プロフィール
1978年1月14日生まれの28歳。東京都出身。
星野英正、近藤智弘らと同期だが、日本体育大時代のタイトルは99年の関東アマだけ。99年の日本プロマッチプレーでは、決勝で近藤に敗れている。
ファイナルQTランク28位の資格で今季ツアー本格参戦。同期の2人は早くからシード入りを果たし、星野は初優勝もあげている。
中田もできるだけ早く追いつきたいところだ。