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日本オープンゴルフ選手権競技 2007

宮里聖志「開き直ってやるしかない」

スタートの10番ティで名前を間違えられた。選手コールで「みやざと“まさし”選手」と、呼ばれて思わずズっこけたが、動揺も一瞬だけ。
この難コースを前にして、そんな小さなことには、いつまでも拘っていられない。
「自分のことだけで精一杯」。
普段は気になって仕方ない兄弟の成績を見る余裕もない。
弟・優作が1打差で追いかけてきていたが、それも「まったく気づかなかった」と振り返る。

再三、ラフに入れたが「開き直ってやるしかない」。
ひたすら目の前の1打に集中して、前半のインコースをすべてパー。
「一生懸命やりすぎて、ほとんどプレーの内容は覚えていない」が、後半怒涛の3連続バーディは覚えている。

6番で、75ヤードから1.5メートルを決めた。
7番は、8メートルの長いチャンスをねじこんだ。
8番で手前バンカーから1メートル。

くびれたフェアウェー。80ミリ以上に成長した深いラフから打ったボールは、容赦なく跳ね返す硬いグリーン。
「考えすぎると、縮こまって打てなくなっちゃう」。
実際に、萎縮しかけた場面もあったが、地元・沖縄で培われた「なんくるないさ」精神で乗り切った。
フェアウェーキープ率は43%。
しかし、バンカーセーブ率は100%。
「アプローチもうまく寄せられた。勝負になるグリーン回りが冴えたから、うまくスコアメイクができました」と、安堵した。

この日本一決定戦は昨年、大会独自の予選会に失敗して自宅で悶々と過ごすしかなかった。
悔しくて「テレビで見ることもしなかった」が、今年は今季のジャパンゴルフツアー賞金ランク(30位)で早いうちに出場権を確定させて「十分に、心の準備をして来たんです」。
照準を合わせた大一番で、思惑通りの好スタートだ。

「このコースでは、頑張って、頑張っていくと、しんどくなる。失敗を恐れず、ラフに入れたら諦める。まあいいや、くらいの気持ちでやるのがちょうど良いから」。
トッププレーヤーもひれ伏す難コースも、自称スーパー前向き人間のお兄ちゃんにはむしろ、うってつけの舞台かもしれない。


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